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ドライバ回路の試験に用いる疑似LEDDesign Ideas

LEDを利用した照明機器に対する注目が急速に高まっている。ただし、問題もある。LED用のドライバ回路の試験をどのようにして行えばよいのかということである。

» 2011年02月01日 00時00分 公開
[Jon Roman/Donald Schelle(米National Semiconductor社),EDN]

 LEDを利用した照明機器に対する注目が急速に高まっている。LEDが効率の高さというメリットを持っていることがその理由だ。ただし、LED用のドライバ回路が、低価格の照明機器で用いるものとしては複雑すぎるというケースもある。それによって生じる問題の1つは、LED用のドライバ回路の試験をどのようにして行えばよいのかということである。

 LED用のドライバ回路の試験には、単純に考えればLEDを用いることになる。ただし、その場合、LEDは標準的な特性条件で動作することになる。そのため、LEDの特性が最悪の条件になった場合の試験が行えないことになる。また、回路の調整時に過剰な光や熱が発生し、そのことが問題で調整に支障を来すケースもあり得る。

 ドライバ回路の試験においては、LEDの代替物として、固定抵抗を使用すればよいと考える方もいるかもしれない。しかし、1つの固定抵抗を用いただけでは、LEDの電圧−電流カーブ上における1点での特性しか模擬できない。この問題を解決するために、電子負荷を使う方法も考えられるが、それだと、ドライバ回路の制御ループと電子負荷によって、測定系が不安定になったり、発振が起きたりすることがある。

図1 疑似LEDを使用したドライバ回路用試験回路 図1 疑似LEDを使用したドライバ回路用試験回路 この回路を用いれば、LEDの動作パラメータの最小値、標準値、最大値に対するドライバ回路の動作を迅速にテストすることができる。
図2 疑似LEDの電圧ー電流特性 図2 疑似LEDの電圧ー電流特性 固定抵抗を使用した場合、LEDの電圧ー電流特性のうち、1点での特性しか近似できない。それに対し、図1に示した疑似LEDの特性は、実際のLEDの特性とよく一致している。

 図1に示すのは、上述したような問題を回避してドライバ回路用の試験回路を構成した例である。

 この回路では、低コストで実現可能な“疑似LED”(図の右側)を用いている。この疑似LEDは、閾(しきい)値電圧をプログラマブルに設定することによって、現実のLEDを正確に模擬することができるようになっている。その中心にあるのは、ダーリントン接続のトランジスタQ1であり、これが電流シンクとして働く。この疑似LEDの消費電力の限界は、トランジスタQ1用に使用するヒートシンクのサイズおよびQ1の許容電力によって決まる。

 この回路は、どのようなLEDの電圧−電流特性にもフィットするよう調整することが可能である。それには、まず疑似LEDの両端に一定の電圧を印加する。その上で、所要の電流値が得られるように、可変抵抗R1の分圧比を調整するだけである。さらに、電圧−電流特性のカーブが折れ曲がるポイントを調整するには、抵抗R3の値を少し調整すればよい。ただ、通常の試験ではこの調整まで行う必要はないであろう。

 図2に、この疑似LEDの電圧−電流特性を示した。比較の対象として、実際のLEDの特性、LEDの代替物として固定抵抗を使用した場合の特性も併せて示している。これを見ると、固定抵抗では十分な試験が行えないことと、疑似LEDの特性が実際のLEDの特性とよく一致していることがわかる。

 この疑似LEDのもう1つの特徴は、LEDの特性パラメータの最小条件/最大条件での試験を迅速に実現できることである。すなわち、この疑似LEDを利用すれば、試験の対象とするドライバ回路が、どのような条件に対しても問題なく動作するか否かを十分に確認することが可能である。

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