三菱電機は2011年4月、ハイブリッド車や電気自動車のモーター駆動に用いるパワー半導体モジュールとして、「Jシリーズ T-PM(Transfer molded-Power Module)」を発表した。同社独自のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である「CSTBT(Carrier Stored Trench-Gate Bipolar Transistor)」を2個搭載したもの。最大定格電流は300Aで、最大定格電圧は600V。飽和電圧は標準値で1.6Vである(コレクタ電流が300A、ゲート‐エミッタ間電圧が15V、ジャンクション温度が25℃において)。サンプル価格は2万円(税抜き)。
Jシリーズ T-PMは、パワー半導体チップと主端子を直接はんだ接合する独自の内部配線構造「DLB(Direct Lead Bonding)構造」を用いることで、配線の抵抗とインダクタンスを低減している。従来は、パワー半導体チップと主端子の間はアルミニウムワイヤーで接続していた。
また、産業機器のモーターを制御/駆動するインバータ向けパワー半導体モジュール製品に比べて、約30倍のパワーサイクル寿命と温度サイクル寿命を実現しているという。なお、パワーサイクル寿命とは、チップに通電した状態で温度を50〜100℃の範囲で急激に変化させる繰り返し動作試験を行ったときの寿命であり、温度サイクル寿命とは、チップに通電しない状態で温度を−40〜125℃の範囲で変化させる繰り返し動作実験を行ったときの寿命のことである。
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