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広い入力ダイナミックレンジと高精度出力を実現したRMS-DCコンバータIC

» 2011年08月17日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 Analog Devicesは2011年8月、交流入力電圧のダイナミックレンジが広く、直流電圧を高精度に出力できるRMS-DCコンバータIC「AD8436」を発表した。主に、ハンドヘルドマルチメーターなどの携帯型計測機器や電力計などのエネルギー計測機器、電気自動車やハイブリッド車などにおける電力計測の用途に向ける。すでに量産出荷を開始している。1000個購入時の単価は、動作温度範囲が−40〜125℃の「AD8436A」が4.95米ドル、動作温度範囲が0〜70℃の「AD8436J」が2.95米ドル。

 RMS-DCコンバータICとは、交流入力電圧の測定値の1つであるRMS値(実効値)を直流電圧に変換して出力するICのことである。AD8436は、交流入力電圧を基にしたRMS値の計算から、RMS値を直流電圧に変換して出力するまで、すべての処理でアナログ信号を用いるタイプの製品だ。RMS-DCコンバータ回路に用いるアンプの性能を向上するなどして、交流入力電圧のダイナミックレンジを100μVrms〜3Vrmsまで広げたことを特徴とする。これに対して、RMS値の計算にΔΣ変調方式のA-Dコンバータを用いる競合他社品の場合、ダイナミックレンジは数mVrms〜数百mVrmsにとどまっていた。


 また、AD8436は、直流出力電圧の精度が、最大で±10μV(読み取り値の±0.5%)と高いことも特徴となっている。さらに、セトリングタイムを高速かつ均一に保てることから、交流入力電圧に変動があっても直流電圧を安定的に出力することができる。加えて、入力段のFETやDCバッファアンプなどの周辺回路も1パッケージに納められている。

 AD8436の主な仕様は以下のとおり。周波数応答特性は、−3dB帯域幅のときに1MHz。65kHzの入力周波数まで、誤差の増加を1%以内に抑えられる。入力オフセット電圧は±500μVで、出力オフセット電圧の温度ドリフトは0.3μV/℃。電源電圧は、単電源の場合で4.8V〜36V,二電源の場合で±2.4V〜±18Vである。消費電流は、±2.4Vで動作させたときに300μAとなっている。パッケージは、外形寸法が4.0mm×4.0mmで、20端子のLFCSPで供給される。

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