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「Stratix IV GX」向けにSATA-III対応のIPコアが登場、4チャネルRAID構成で4K2K映像の非圧縮伝送が可能に

» 2011年09月12日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 デザイン・ゲートウェイは2011年9月、AlteraのFPGAチップ「Stratix IV GX」において、Serial ATA(Advanced Technology Attachment) Revision 3.0(SATA-III)に準拠したデータ転送を可能にするIP(Intellectual Property)コア「SATA-IP-S4GX」を開発したと発表した。主に、高解像度の映像を非圧縮で伝送する業務用カメラ、産業用機器、医療機器の用途に向ける。Stratix IV GXの開発ボード上で、同IPコアを実装して動作させるのに必要な周辺回路のリファレンスデザインも標準で添付している。ライセンスの提供形態は、プロジェクト単位の売り切りである。

 デザイン・ゲートウェイは、IPコアの開発/提供や、設計の受託業務などを手掛けている企業である。同社でマネージャーを務める石川康彦氏は、「SATAは、PCのHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(Solid State Disk)のストレージインタフェースとして広く利用されている。最新規格であるSATA IIIは、600メガバイト/秒(MB/s)という高速のデータ転送速度を備える。このような高速のインタフェースを搭載する大容量のストレージが、PC向けに市販されているということもあって、安価な価格で入手することが可能である。例えば、容量2テラバイトの3.5インチHDDは約5000円で、容量64ギガバイトの2.5インチSSDは約8000円である。これら市販のHDD/SSDを組み込み機器で活用する際に役立つのが、今回発表したSATA-IP-S4GXである」と語る。

図1 「SATA-IP-S4GX」の構成 図1 「SATA-IP-S4GX」の構成 

 同社によると、組み込み機器でSATAインタフェースを備えるストレージを搭載する場合には、ASSPとして提供されているSATAコントローラICを用いるか、SATA対応のIPコアをFPGAに搭載するか、どちらかを選択することになるという。しかし、SATAコントローラICは、最小購入単位が1万個からであったり、ICベンダーによるサポートが大手顧客中心であったりなどのデメリットがある。一方、FPGAにIPコアを搭載する場合、ICの購入単位の制限はないし、サポートはIPコアのベンダーから提供される。また、FPGAを用いているので、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)などの機能を容易に追加することができる。さらに、「ICの価格は、SATAコントローラICの方がFPGAよりも圧倒的に安い。しかし、開発中の組み込み機器にFPGAを用いることが決まっているのであれば、ICのコストを無視することが可能だ」(石川氏)という。

 SATA-IP-S4GXは、Stratix IV GX専用のIPコアである。Stratix IV GXのGXB(高速シリアル通信機能ブロック)を用いることでSATAチャネルの実装を実現した。IPコアとして提供されるのはリンク層の部分のみとなる。SATAチャネルを構成する、アプリケーション/トランスポート層や物理層は、リファレンスデザイン(ソース言語はHDL)が標準で添付される(図1)。また、Alteraのソフトプロセッサコア「Nios II」向けのファームウェアもC言語で提供する。IPコアのロジック容量は、ALUT(Advanced Look-up Table)換算で1488となっている。

図2 データ転送速度の評価に用いたシステム 図2 データ転送速度の評価に用いたシステム 

 デザイン・ゲートウェイは、Stratix IV GXの開発ボードで動作する評価用のSOF(SRAM Object File)ファイルも無償で提供している。このSOFファイルを用いて、SATA-IP-S4GXを組み込んだStratix IV GXの開発ボード、Terasic製のSATA対応ドーターカード、SATA-IIIに準拠するSSD「OCZ Agility 3」で構成したシステムのデータ転送速度を評価したところ、書き込み速度は448MB/s、読み込み速度は562MB/sとなった(図2)。石川氏は、「次世代の映像フォーマットとして知られる4K2K(画素数4000×2000)を非圧縮でデータ伝送するには約2ギガバイト/秒の速度が必要になる。Stratix IV GXにSATA-IP-S4GXを組み込んで、RAIDを用いた4チャネルの並列アクセスを行えば、この約2ギガバイト/秒というデータ転送速度を実現することが可能だ」と述べている。

 なお、同社は、ミドルレンジ市場向けのFPGAである「Arria II GZ」向けにも、SATA-III対応のIPコアを開発している。ただし、「まずは、Stratix IV GX向けのSATA-IP-S4GXの顧客サポートに注力したい。Arria II GZ向けのIPコアの市場投入は、2〜3カ月後になると考えている」(同氏)という。

(朴 尚洙)

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