ディー・クルー・テクノロジーズは2011年9月、700MHz〜2.0GHzの周波数範囲にある20のバンド(周波数帯)に対応したパワーアンプ「DC1302B」を開発した(図1)。「20ものバンドに対応したパワーアンプは業界初」(同社)という。対象機器は、LTE(Long Term Evolution)やW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile Communications)といった方式に対応した通信端末である。2011年10月に、特定の顧客を対象にサンプル品の提供を開始する。
高速/大容量のモバイル通信方式として、WiMAXやHSPA+、LTEの導入が進められている。ただ、既存のGSMやW-CDMAといった通信方式に加えて、新たな通信方式にも対応した通信端末を開発するのはそう簡単ではない。無線通信に使用するバンドは通信方式ごとに異なる上に、同じ通信方式であっても地域ごとに使用するバンドが異なる場合があるからだ。幅広い周波数範囲にある複数のバンドに対応するには、異なる特性のパワーアンプやフィルタを複数組み合わせる手法が一般的である。ただし、次々と新たな通信方式が登場するにつれて、実装面積や消費電力の観点でこの手法にも限界が訪れていた。
DC1302Bは、上記の課題の解決に向けて開発されたパワーアンプである。独自に開発したバンド切り替え機能を搭載することで、700MHz〜900MHzの周波数範囲にある10バンドと、1.7GHz〜2.0GHzにある10バンド、計20バンドに対応している。現在開発中の1.5GHz帯に対応したパワーアンプ「DC1302C」と組み合わせて利用すれば、LTE方式の通信に用いられる全てのバンドを2つのパワーアンプのみでカバーできるとしている。
レギュレータ回路を内蔵しており、電源電圧範囲は3.0V〜5.25Vと広いことも特徴である。利得は最小値で28dB。パッケージは、外形寸法が5.0mm×5.0mm×1.0mmの20端子PAMである。
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