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走行モーター用マイコンや車載タブレット端末などもET2011

» 2011年11月25日 00時00分 公開
[朴尚洙,Automotive Electronics]

 「Embedded Technology 2011/組込み総合技術展(ET2011)」(2011年11月16〜18日、パシフィコ横浜)は、その名の通り組み込み機器を対象とした展示会である。組み込み機器において、大きな市場を形成しているものの1つとして車載機器がある。本記事では、ET2011に出展した半導体メーカーが行った車載機器向け製品に関する展示を紹介しよう。


図1 「SH72AYグループ」のデモ 図1 「SH72AYグループ」のデモ 中央にあるのがSH72AYグループを搭載する評価ボードで、下側にあるモーターの動作を制御している。ディスプレイに表示されているグラフの黄色の線は、プロセッサへの処理負荷を示している。「EMU」を用いているので、処理負荷は16%程度と低い。

 ルネサス エレクトロニクスは、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)の走行モーター向け制御マイコン「SH72AYグループ」を展示した(図1)。2011年1月開催の「第3回国際カーエレクトロニクス技術展/第2回EV・HEV駆動システム技術展」で公開した「SH72AWグル―プ」に、モーターのフィードバック制御を行う専用回路「EMU」を新たに追加したことを特徴とする。2013年第3四半期にサンプル出荷を、2014年第3四半期に量産を開始する予定。

 展示では、EMUによるモーターのフィードバック制御のデモンストレーションを行った。EMUを用いずにソフトウェアで行う場合、プロセッサへの処理負荷は36%程度になるが、EMUを用いることにより処理負荷を16%まで低減できる。また、フィードバック制御の応答時間も、ソフトウェアで行う場合に17μ〜18μsかかるところを、EMUを用いることで3μsまで高速化できるという。

図2 「R-CarH1」のデモ 図2 「R-CarH1」のデモ 

 またルネサスは、ハイエンドカーナビ用SoC(System on Chip)「R-Car H1」の動作デモも披露した(図2)。このデモでは、R-Car H1で処理した映像を、2台のXGA(1024×768画素)液晶ディスプレイに表示している。左側の液晶ディスプレイでは、3Dグラフィックスのデモ上に、PinP(Picture in Picture)でQVGA(320×240画素)サイズのカーナビのGUIを表示している。右側では、3Dの地図データを用いたナビゲーション画面上に、PinPでQVGAサイズの動画を再生している。「これらの4つの映像表示を同時に行っても、プロセッサの処理容量にはまだまだ余裕がある」(ルネサス)という。なおOSは、Microsoftの「Windows Embedded Automotive 7」を用いている。

図3 タブレット端末タイプの車載情報機器 図3 タブレット端末タイプの車載情報機器 

 インテルとバイテックは、インテルのプロセッサ「Atom E660」を搭載するタブレット端末タイプの車載情報機器を展示した(図3)。ベースとなるタブレット端末は、Atom E660とラピスセミコンダクタのメディアフォン向けIOH(I/O Hub)を用いてNECエンベデッドプロダクツが開発したものを利用している。Linuxベースの車載用組み込みOS「MeeGo-IVI」が組み込まれており、その上でエディアのカーナビゲーションソフトウェアを動作させている。バイテックは、「タブレット端末タイプの車載情報機器は、カーナビメーカーが開発を検討するなど需要がある」と見ている。

 日立超LSIシステムズは、HEVやEVのリチウムイオン電池パックや定置型蓄電システム向けの電池監視ICを開発していることを明らかにした。同社は、携帯電話機やデジタルカメラなど1個の電池セルを用いる電池パック向けの監視ICでは高い実績を持つ。また、2〜3個の電池セルを用いるノートPC用電池パック向けや、3〜5個の電池セルを用いる電動工具用電池パック向けの製品もラインアップしている。開発中の製品は、直列に接続された4〜12個の電池セルについて、過充電/過放電電圧と過電流を検出することができる。2012年秋までに開発を完了する予定だ。

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