今回は、シーケンサやモータードライバー用の電源など、2次電源を生成する多種の機器に多用されている新電元工業の電源IC「MAシリーズ」を使った機器の修理の経験を報告する。
新電元工業のRCC方式(自励式フライバックコンバーター)の電源IC「MAシリーズ」は、2次電源を生成する多種の機器に多用されている。例えばシーケンサやモータードライバー用の電源だ。MAシリーズはMA2000、MA3000、MA4000が発売され、徐々にICの特性が改良されている。筆者は電源機器の開発には関与していないため、これらMAシリーズの機器開発用データシートを見る機会はなく、修理品の中に実装されているICの型名からメーカーに問い合わせ、回路や特性を少しずつ理解してきた。今回は電源ICであるMAシリーズを使った機器の修理の経験を報告する。
まずはMA2000シリーズを使ったサーボパックの例を図1に示す。
図1右上の赤四角で示した放熱板に固定されたICがMA2000シリーズのICだ。電解コンデンサーで整流された電荷を使って左側のトランスを駆動。図1中央上のダイオードや電解コンデンサーで整流して2次電圧を生成し、出力電圧をシャントレギュレーターで判定し、フォトカプラで一次側へフィードバックして安定した2次電圧を生成していた。
モータードライバーではデジタル、アナログ、IGBTのゲートの制御電圧が必要であり、8種類程度の2次電圧が生成されている。MA2000シリーズは一般的なデータシートはあるが、ICのピン番の機能が記載された資料は開示されていなかった。このためにメーカーへ問い合わせし、生産中止されたこのICの拡販用資料を入手できた。図2に示す。
図2はMA2000シリーズを使用したRCC電源回路の説明であり、特に応用回路でICの動作が理解できた。図2左で部品の特性やピン番号は把握できた。図2右に等価回路があったので基板に実装したままテスターのダイオードモードで、各ピン間のダイオードのVFを測定しICの破損の有無が確認できた。例えばメインのトランジスタQ1は3ピンのベースから2ピンのコレクタと4ピンのエミッタのVFを測定し、0.4〜0.5Vあれば正常だ。
MA2000シリーズのICは既に生産中止され、国内では入手できないが海外のサイトで入手可能だった。少しずつ部品を入手して、何とか電源部の修理を継続できるようになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.