パナソニックのLEDパッケージのリフレクタ向け樹脂材料「Full Bright」は、熱可塑性ナイロン系樹脂と比べて、LED素子の発熱による変色や反射率の低下が起こりにくい。
パナソニックは2012年2月、LEDパッケージのリフレクタ部に用いる熱硬化性樹脂成形材料「Full Bright(フルブライト)」を開発したと発表した。従来から広く利用されている熱可塑性ナイロン系樹脂と比べて、LED素子の発熱による変色や反射率の低下が起こりにくいことを特徴とする。
LED照明や液晶ディスプレイのバックライトの光源となるLEDパッケージは、リードフレーム上に反射率の高い樹脂材料を使ってリフレクタ部を成形してからLED素子を実装し、最後に透明樹脂で封止するというプロセスで製造される。フルブライトは、このリフレクタ部に用いる樹脂材料である。
高温で発熱するLED素子を内蔵するLEDパッケージの材料には、高温環境下での安定性や信頼性が求められる。特に、リフレクタ部用の樹脂材料の反射率は、LEDパッケージの輝度性能を決める重要な要素となるため、高温環境下でも長期間に渡って安定した値を維持できる必要がある。また、LED素子の高輝度化によって、その発熱量も増大しているため、リフレクタ部用の樹脂材料に求められる性能要求はさらに厳しくなっている。
今回発表したフルブライトでは、LEDパッケージの出力が0.5〜2Wクラス向けの「CE6000」と、0.5〜3Wクラス向けの「CV1800」の2品種を用意している。CE6000は、射出成形に対応した不飽和ポリエステル樹脂。一方のCV1800は、トランスファーモールディングに対応するエポキシ樹脂である。初期反射率(常温)は2品種とも95%だ。
これらのCE6000とCV1800、熱可塑性ナイロン系樹脂であるポリフタルアミド(PPA)について、LEDパッケージを継続して点灯した状態に近い150℃の環境下で、1000時間後の反射率を測定して比較した。その結果、PPAが40%以下まで低下したのに対して、CE6000は75%以上、CV1800は80%以上を維持することができたという。
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