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部品が無くてもガラエポ基板が燃えるWired, Weird(1/3 ページ)

現在の電気機器では、プリント基板にFR-4などのガラスエポキシ(ガラエポ)材料が広く使われている。本来、ガラエポ基板は不燃性であり、基板が単体で燃えることは無い。しかし筆者は、部品が実装されていないにもかかわらず、ガラエポ基板が燃えるという珍しい事故に遭遇した。今回はこの事例を紹介する。

» 2013年03月04日 07時30分 公開
[山平 豊内外テック]

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 筆者は今までにいろいろな基板の焼損事故に遭遇した。それらのうちほとんどは、プリント基板に実装された部品に過電圧や過電流が印加され、部品が過電力になって焼損したものである。

 基板の素材として、30年以上前は民生向けで安価な白色の紙エポキシの基板を使っていたが、この素材は燃えやすい自燃(じねん)性であり、最近はあまり見かけなくなっている。近年は、安全仕様が強化されて、緑色のFR-4などのガラスエポキシ(以下、ガラエポと略す)基板が採用されている。

 ガラエポ基板は不燃性であり、基板が単体で燃えることは無い。しかし筆者は、ガラエポ基板で部品が実装されていないにもかかわらず、基板が燃えるという珍しい事故に遭遇した。今回はこの事例を紹介する。

コネクタしか載っていない基板が……

 事故があった基板は、センサーと制御基板を接続する中継用の基板である。実装されている部品はほとんどがコネクタだった。基板の燃えた部分の写真を図1図2に示す。

図1 焼損した基板の部品実装面 図1 焼損した基板の部品実装面

図2 同じ基板の裏面(はんだ面) 図2 同じ基板の裏面(はんだ面)

 図1は焼損した基板の部品面で、焼損跡が黒くなっている。放射状に広がっている黒い痕跡は、激しく焼損した時に煙(すす)が飛散したものと思われる。基板のレジストが剥げて銅箔(はく)が露出しているが、銅箔の表面に白い付着物が見える。この付着物が基板の焼損を解明する鍵だった。

 図2は焼損部分のはんだ面である。両図中、白いランドが見えるパターンはDC24Vの電源(VCC)で、周囲のベタパターンはグラウンド(GND)である。写真を見れば一目瞭然だが、焼損した部分に部品は実装されていない。図3に、焼損していない基板で写真の焼損相当の位置に赤色の丸印を付け、煙の飛散の跡を赤色の矢印で示した。

図3 焼損していない基板 図3 焼損していない基板

 部品が実装されていないのに、なぜ基板が焼損したのだろうか? 基板の燃え方を詳細に確認したところ、激しく燃えている部分は図3に赤色の丸印で表示した部分で、ランド(VCC)と隣のGNDパターンの間だった。しかし、この部分の上部にはレジストがあり、保護されていた。

 焼損した位置のはんだ面を見てみよう。図2に黄色の枠で示した部分である。焼けた反対側のはんだ面側で左から3番目のランドの中央が少し盛り上がっているが、その他には変化が見られず、はんだ面にはあまり熱が伝わっていないようだ。

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