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IGBTの耐久性の定量化パワー半導体技術(2/4 ページ)

» 2013年10月16日 07時00分 公開
[Allan Ballオン・セミオコンダクター IGBTアプリケーション・エンジニアリング・マネージャ]

短絡定格

 この指標は、短絡現象が発生した場合にIGBTが対処できるエネルギーの量を測定します。そのような状況下でデバイスは強制的にオン状態になり、コレクタ端子とエミッタ端子の間に高い電圧が印加されている場合は、非常に高い電流が端子間を通過することになります。

 この結果、非常に高い電力レベルが発生し、大量の熱を放散する必要が生じることになります。特定のアプリケーション・シナリオでは、このパラメータに関して測定する必要のある一連の要件が存在します(例えば、白物家電は通常、約5μsの短絡時間が保証されるのに対し、無停電電源(UPS)で要求されるのはそれよりかなり短い時間になる)。IGBTの短絡定格をテストするために、コレクタ端子とエミッタ端子の間に固定電圧を印加し、その後、ゲートをバイアスすることができます。IGBTをヒート・シンクにマウントし、一定の高温に維持した状態で、このテストを実施します。このテストでは、実質的に機能できなくなるまで半導体のチップを加熱することで、デバイスの故障点を特定します。チップ・サイズ、ゲート電圧、コレクタ−エミッタ間電圧(VCE)、ヒート・シンク温度などさまざまな関連要因は一定の値にとどまっているため、短絡時間を変更するために、IGBTを通過する電流を調整する必要があります。

 図1に、標準的なIGBTの等価回路を示します(ゲート、エミッタ、コレクタをいずれも示しています)。

【図1】IGBTの等価回路

 図2で、IGBTを通過する電流の流れを図示しています。

【図2】BJT素子とFET素子を通過するIGBTの電流の流れ

 BJT素子は主に電流の伝達を担当し、電界効果トランジスタ(FET)はBJTのベースをドライブします。一定の条件が与えられたときに、BJTを通過する電流IBは、BJTのベース・ドライブを通じて部分的に決定されます。FETのトランスコンダクタンスを調整することにより、BJTのベース・ドライブを制御できます。その結果、短絡定格を制御できます。

長時間にわたる短絡定格の場合は、FETのトランスコンダクタンスは低下するため、特定のドレイン−ソース間電圧(VDS)とゲート−エミッタ間電圧(VGE)に対するFETのドレイン電流も減少します。その結果、ベース・ドライブ電流が減少し、コレクタ電流も減少し、IGBT内の電力レベルも小さくなります。

 ただ、ここでは「ある程度の妥協を行う必要が生じる」という事実を受け入れる必要があります。例えば、IGBTがより長い短絡時間に耐えることを示す場合は、その耐久性が向上したことになります。だがこの場合、FET内で生じたトランスコンダクタンスの低下は、オン抵抗(RdsON)の増大を意味し、これはIGBTのVCE(sat)に直接影響して、大きな導通損失をもたらします。

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