ワイヤレス給電技術については、電磁誘導(MI:Magnetic Induction)方式と磁気共鳴(MR:Magnetic Resonance)方式の2つの標準化が進められています。いずれもコンパクトに実装でき、コストを抑えられることから、民生機器市場におけるワイヤレス給電の主要な方式となっています。本稿では、ワイヤレス給電の市場と、MI方式、MR方式の両技術の現状について説明します。
ワイヤレス給電は、エレクトロニクス業界の中でも特に成長が著しい分野です。この技術を活用することによって改善を図ることが可能なアプリケーションは数多く存在します。電池で駆動する携帯型電子機器に対しては、消費者の購買意欲は絶えることなく高まり続けています。その一方で、そうした機器を充電された状態に維持するための手段は、従来、不便なものであり続けました。このことが、ワイヤレス給電技術の普及を後押しする大きな要因になっています。実際、無線による充電が可能な携帯型機器の種類は大幅に増加しています。この傾向が継続すれば、ワイヤレス給電技術は、われわれの日常生活や携帯型機器の使用習慣に欠かせない存在になるでしょう。
ワイヤレス給電技術については、電磁誘導(MI:Magnetic Induction)方式と磁気共鳴(MR:Magnetic Resonance)方式の2つの標準化が進められています。いずれもコンパクトに実装でき、コストを抑えられることから、民生機器市場におけるワイヤレス給電の主要な方式となっています。現時点では、MI方式の方が磁気結合が強く、大きな伝送電力が得られ、設計も容易で、高い効率が得られる方式だと位置付けられています。ただし、一方のMR方式には、空間自由度が高く、1つのトランスミッタ・パッドで複数の受電機器に対応でき、近くにある金属への蓄熱量が少ないという利点があります。
MI方式には、主流の規格と呼べるものが2つ存在します。WPC(Wireless Power Consortium)が策定した規格「Qi」と、PMA(Power Matters Alliance)が策定した規格(以下、PMA)です。このことから、MI方式を採用した携帯型機器を設計する際には、QiとPMAのうちどちらに準拠させるか、あるいは両方に準拠させるのかという判断が必要になります。一方、MR方式は、A4WP(Alliance for Wireless Power)が策定した規格(以下、A4WP)が主流だと言えます。QiまたはPMAに準拠する製品は既に提供されており、A4WPに準拠する製品は2014年に登場する見込みです。本稿では、ワイヤレス給電の市場と、MI方式、MR方式の両技術の現状について説明します。
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