今回は以前にも紹介した2端子の発振回路「シリアルオシレータ」を使った楽しい応用例を紹介する。複数のスイッチの中から、どのスイッチが押されたかを特定するシステムであり、スイッチ以外にも反応したセンサーを特定する用途などでも応用できるものだ。
今回は以前にも紹介したシリアルオシレータ(関連記事:これは便利! 2端子の発振回路「シリアルオシレータ」 )を使った楽しい応用例を紹介する。
それは複数のスイッチやセンサーの動作を識別する方法だ。シリアルオシレータを使うと、多数のスイッチからどのスイッチが押されたのかを知ることができる。分かりやすい応用例としては、乗り合いバスでの“降車スイッチ”のいたずら防止システムだ。バスの中に設置された複数の降車スイッチにシリアルオシレータを接続しておけば、どのスイッチが押されたのかを簡単に特定できてしまうのだ。
今回は、シリアルオシレータを使って、どのようにして多数のスイッチ/センサーを認識するか説明しよう。図1はスイッチ認識システムの接続と動作イメージ図である。
図1の左側は多数のスイッチが接続されたライン(以下、スイッチライン)であり、ここにスイッチとシリアルオシレータを接続する。スイッチラインは2本の配線で、終端部に抵抗RTがある。スイッチラインは監視ユニットの電源Vccと入力抵抗RINに接続されRINの他端は電源のGNDに接続されてスイッチラインに電流が流れる。個々のスイッチは固有の発振周波数を持つシリアルオシレータと直列に接続してスイッチラインへ並列に接続される。この接続は非常にシンプルであり、スイッチラインも細い2本の線だけで配線工事は簡単にできる。またスイッチを追加する時はシリアルオシレータも一緒に増やすだけで済む。
スイッチが押されていない時は入力抵抗RINには終端抵抗RTとの電源の直流の分割電圧がかかる。この入力電圧は監視ユニットのウィンドコンパレータで監視される。いずれかのスイッチを押されるとそのスイッチに接続されたシリアルオシレータが発振し、固有の周波数の信号が監視ユニットへ入力される。この信号はコンデンサCで直流カットされ、パルス信号がデジタルフィルタ部へ伝達される。
デジタルフィルタは入力周波数を解析しその周波数から押されたスイッチの番号を判定できる。先に挙げた“降車スイッチいたずら防止システム”の例であれば、判定したスイッチの番号を監視ユニットで表示することで、バスの運転手や乗客にどのスイッチが知らせることができ、いたずら防止できるのだ。
もう少し具体的な回路で動作を説明しよう。
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