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汎用性のあるプログラマブルゲイン増幅器Design Ideas アナログ機能回路

マイコン制御の利得可変回路を用いて、汎用性の高いプログラマブルゲイン増幅器を構成するアイデアを紹介する。

» 2014年06月13日 09時30分 公開
[Luo Bencheng,中国科学アカデミー]

 「INA118」や「AD623」など標準的な計装増幅器は、高確度で利得変化幅の広いプログラマブルゲイン増幅器としても用いることができる。しかしその利得範囲は固定されており、汎用性に欠けるという問題がある。その解決策として、図1のようなマイコン制御の利得可変回路を用いることが多い。IC2はプログラマブルな8:1アナログ・デマルチプレクサで、8個の重み抵抗R1〜R8に接続されており、汎用高精度増幅器IC2の利得範囲を改善している。回路の総合利得は、次の式のように、選択した重み付け抵抗の値によって決まる。

VOUT=−VIN((RX+RON)/R0

図1 プログラマブルゲイン増幅器の一例
利得設定にマイクロコントローラーのデジタル出力を用いた、基本的なプログラマブルゲイン増幅器である。

 RONはIC2のオン抵抗、RXはR1〜R8から選択した重み付け抵抗である。IC2のポート選択端子A〜Cをマイクロコントローラーで制御し、選択した重み付け抵抗に従って利得を設定する。しかし、この回路では、温度変動などの制御ができないIC2のオン抵抗があるために、高性能・高品質は得られない。

 そこで、図1の回路を工夫した、図2のような回路を使用する。同じIC1を用いているが、IC2をプログラマブル8:2差動入力アナログ・マルチプレクサに変更し、これを4個の平衡抵抗R01〜R04と8個の重み付け抵抗RG1〜RG8に接続して、回路の利得変化範囲を改善している。IC2のポート選択端子K1〜K2をマイクロコントローラーで制御し、高品質のプログラマブルゲイン増幅器を構成している。回路の総合利得は、次式で与えられる。

VOUT=VIN(1+RGB/RGA

 RGAはRG1〜RG4から、RGBはRG6〜RG8から、それぞれ選択した重み付け抵抗である。

図2 図1を改善したプログラマブルゲイン増幅器
図1の回路を工夫すると、高性能と汎用性が得られる。

 アナログ・マルチプレクサIC2は、増幅器IC1の入力側にある。抵抗R01〜R04は、信号入力チャンネルのバランスを取ってマルチプレクサIC2のオン抵抗によるレベル・シフトを減らすことで、オン抵抗による影響を最小に抑えている。オペアンプIC01とIC02はフォロワー回路として働き、回路全体のドライバ性能と同相モード除去能力を改善している。


Design Ideas〜回路設計アイデア集

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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