さて、どこから手を付けるか? 壊れた部品を交換して通電したら交換した部品が過熱、破裂する恐れさえあり、かなり危ない。
図1の黒く焼けた部分の部品を外して単品で部品毎に特性を確認したら、全て正常に動作した。またトランジスタQ1のベース電流の制限抵抗がないことが分かった。しかし、D5とD6に相当する部品をつなぐパターンが断線していた。このためジャンパーの代わりに100Ωの抵抗を入れた。これでトランジスタのベース電流を制限できる。図6に改造したハンダ面の写真を示す。
これで少しは危険が減っただろうと思い、試しに破損したトランジスタを手持ちの部品に交換し、トランジスタの放熱を行わないでAC100V通電してみた。すると交換したトランジスタが一瞬で破裂し、5Wの入力抵抗も切れた。やはりこのままの回路では非常に危険だ。
正規の部品を手配するが、恐らく数回は部品が壊れると思われたので、代替えの部品を多めに手配した。2週間程度で代替部品は入手できた。破損した部品の変わりに代替部品を実装した。
このままAC電源を通電するのは危ないので、1次電源の整流部に直流安定化電源を接続してサブ電源の動作を確認してみた。DC20Vの電源を供給したらRCC回路が発振を開始し、2次側に電圧が出力された。DC40Vまで入力電圧を上げたら2次側の出力がDC30Vになった。2次側に実装されていた電解コンデンサの耐圧は25Vであり耐圧を超えた電圧が出力されていた。やはりフィードバック信号が無い“暴走”電源だ。
制御電源用のトランスの抵抗を測定したら4Ω程度だった。1次電源はAC100Vを倍電圧整流しているのでDC280V程度の電圧になる。計算すると全電力は20KWになりその0.1%をトランジスタが消費しても消費電力は20Wの計算になる。これでAC100Vを印加したらトランジスタは加熱、短絡して破裂し、入力抵抗もまた断線するだろう。また2次側のDC出力は過大な電圧になり、電解コンデンサも破裂するかもしれない。これは困った。1次側の電流を制限し、2次側の電圧が15V程度になるようブレーキ代わりに入力電源を調整するしかない。
対策として図5のトランスの電源側に電力抵抗を入れた。抵抗値はカットアンドトライして選びサブ電源の電力を調整した。その結果AC100Vを接続したら、2次側の出力電圧が15V程度になり、なんとかサブ電源は確保できた。電流制限の電力抵抗には10Wを使ったが、それでも抵抗はかなり熱くなった。
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