つまり、ファンアラームを感知させないためには電源投入時にDCファンのセンサー信号を正常にすれば良い。具体的には電源投入時に数秒間センサー信号をオンにすれば良いと考えられた。DC電源の立ち上がり信号を微分して出力を数秒間オンさせる簡単な基板を作った。図1に回路図を示す。
図1では補助電源の立ち上がり信号でコンデンサC1と抵抗R1の微分波形がQ1(FET)のゲートに印加されるためQ1が数秒間オン動作する。電源基板に取り付けやすくするため表面実装部品を使って基板を小さく作った。コンデンサと抵抗を選択しQ1が電源投入時に2秒程度オン出力するようにした。
図1ではC1を急速に放電させる回路がないので短時間で電源をオンオフすると出力時間が短くなる。しかし、このような操作でもシャットダウンを感知させない回路の用途としては十分だろう。製作した基板の写真を図2に示す。
図2の基板の材料費は30円程度で、サイズは2.5mmピッチで3×4個の基板で製作できた。ファンのコネクタが2.5mmピッチで3端子のため、基板のサイズをコネクタに合わせた。この基板は電源投入時に出力がオンになるので、約2秒間はインターロックの動作を防ぐ。その間にファンのセンサー出力がオンになって、この基板を実装した電源は正常に動作した。
図2の基板を電源基板本体に、そのままハンダ付けした。写真を図3に示す。
図3の改造を行い電源ボックスに電源基板2枚とファンを組み込んだ。ボックスと電源基板のすき間が狭かったので、かなり無理をして基板を取り付けた。
組み立て後にボックスにAC100Vを通電したら正常に5V電源が出力され、LEDも点灯した。正常出力後にファンの羽に触れてファンの回転を止めると緑のLEDが消えて、DC5V出力は遮断された。ファンの羽を開放するとファンは回転を再開したが5V出力は遮断されたままだった。予想通りの動きで電源のファンのセンサー出力とインターロックは正常に動作した。
動作確認後に電源を再度分解して、追加基板の位置を変更した。それは電源基板の裏面に追加基板を入れると組み込み時に無理があり、補助電源を短絡させて電源を壊してしまう恐れがあるからだ。無理なく組み立てるため追加基板をファンの配線の途中に挿入した。ファンの配線を再接続し通電したら5V電源は正常に出力された。これでやっと修理完了だ。
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