A-Dコンバータには、逐次比較(SAR)型、デルタシグマ(ΔΣ)形、二重積分形、フラッシュ形、パイプライン形などがありますが、マイコンに搭載されているA-Dコンバータは逐次比較型が圧倒的に多いです。最近、高分解能が必要な用途向けにΔΣ形が搭載されているマイコンもありますが、まだまだ少数派です。
逐次比較型のほとんどがサンプル&ホールド型で、最初に被測定電圧をサンプリングして、その電圧をホールド(維持)して逐次比較を行うものです。
一概にサンプル&ホールド型逐次比較形A-Dコンバータといっても、各製品によって若干、方式が異なります。ここではSTマイクロエレクトロニクスの32bitマイコン STM32に搭載されている逐次比較型A-Dコンバータを例にとって説明します。
A-Dコンバータの回路は図1に示すように、(a)のサンプリング回路と(b)の逐次比較変換回路に分けられます。最初にSW1をON、SW2をOFFして電圧保持用コンデンサCを被測定電圧源に接続します。この時電圧保持用コンデンサCは逐次比較用の比較器と切り離します。
一定時間(サンプリング時間)経過すると、被測定電圧と電圧保持用コンデンサCがほぼ同じになります。すると、SW1をOFF、SW2をONして電圧保持用コンデンサCを被測定電圧源から切り離し、逐次比較用の比較器と接続します。
その後、D-Aコンバータから比較用の電圧を出力し、電圧保持用コンデンサCの電圧と比較します。この時、二分検索(バイナリサーチ)を使って比較します。二分検索は分解能の数だけ行えば変換終了です。例えば12ビット分解能のA-Dコンバータであれば、12回、10ビット分解能であれば10回、8ビット分解能であれば8回です。
二分検索の方法は「いまさら聞けないコンバータ入門(2):複雑なA/Dコンバータの回路構成を極める!」を参照してください。
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