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交流を直流に変換する「AC-DC電源」のきほんいまさら聞けないAC-DC電源入門(1/3 ページ)

コンセントにつなぐ電気製品になくてはならないAC-DC電源。ノートPCやスマートフォンのアダプタなどで身近に使用している割に、その仕組みを知らない人は多い。そんなAC-DC電源の必要性や方式の基本を紹介する。

» 2015年03月26日 11時00分 公開

AC-DC電源とは?

 AC-DC電源は、例えば、携帯端末の充電用アダプタなど、AC電圧(交流電圧)からDC電圧(直流電圧)に変換するものである。一般的な家庭やオフィスには交流の電源が供給されるが、電気製品に組み込まれているほとんどの電子回路は5Vや12VなどのDC電圧で動作する。そのため、AC(交流)からDC(直流)に変換しなければならず、電気製品にはなくてはならないものだ。

 電気製品の中には白熱電球やモーター機器などAC電圧で駆動し、AC-DC変換を必要としない機器もある。だが、最近は省エネ・節電意識の高まりから、白熱電球はDC電圧で駆動するLED照明に置き換わりつつあり、モーター機器もDC電圧で動作する制御回路(マイコン回路など)を使って、より電力効率の良いインバータ制御が行われるようになってきている。そのため、AC-DC電源の必要性はより増しているといえる。

なぜACで送電されるのか?

 あらゆる機器で、ACをDCに変換するのであれば、最初から電力会社はDCの電力を供給すれば、良いと思うかもしれない。実際、DCで電力供給できれば便利になるのだが、DCで電力を供給できない事情があるのだ。発電所で作られた電気は都市部などの消費地に送電されるが、通電によって損失が発生する。この損失を抑えるために高電圧(数万〜数十万Vなど)で送電されるが、電圧が高いためにそのままでは利用することができず、変圧(降圧)しなければならない。この変圧をDCよりACの方が簡単に行えるため、AC送電が行われている。

 このような理由から、現在はAC送電が主流だ。ただ、DC送電はAC送電に比べて最大電圧値が低い、無効電力が発生しないなどのメリットがあり、今後の技術革新によってDCでの変圧が容易になると、DC送電の時代がやってくるかもしれない。

AC-DCの変換方法

 AC電圧からDC電圧に変換する主な方法は「トランス方式」と「スイッチング方式」の2つだ。両方式の特徴をまとめると次のようになる。

 両方式のメリット・デメリットは相反しており、製品ごとに使い分けされてきた。

 例えば、トランス方式は、回路が簡単、安価などの長所から小型の充電アダプタに、また、ノイズが少ないという利点からオーディオ機器電源にも採用されている。

 しかし最近では、携帯端末の普及から小型・軽量が求められるようになり、また、省エネ・高効率要求の高まりもあって、多くの電気製品の電源がスイッチング方式を採用するようになっている。

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