図3に実装されたICは図4左のピン番号と機能が合致しており、台湾メーカー製の電源制御ICに間違がなさそうだ。しかし、このICの入手が難しいためACアダプタの修理は断念した。さてオシロスコープの電源基板の一次側の修理をどうするか。R7731AのDIP-8パッケージは中国サイトで手配済みであり手配した部品の到着を待つしかない。
電源基板の二次側のDC-DCコンバータを点検したら前回と同様に、DC-DCコンバータICのMC34063Aが壊れていた。MC34063Aは既に国内のパーツショップから購入していたのですぐに交換できた。安定化電源から+8.4Vの電圧をバッテリー端子へ供給したらオシロスコープの表示が点灯した。暫定的だが安定化電源を使ってオシロスコープを動かし、修理の仕事を行うしかない。
中国のパーツサイトに部品を注文してちょうど1カ月が経過した頃に、やっと部品が届いた。Air Mailの写真を図5に示す。
10個まとめて買うと安くなった上、送料は無料だった。でもその代わり納期は長くなってしまった。早速、故障したオシロスコープの電源基板に電源制御ICを実装して動作を確認した。図6に示す。
しかしR7731Aを交換して、AC100Vを供給したがDC8.4Vの電圧が出ない。他にも壊れた部品があるようだ。トランスを駆動するFETを外して単品で動作を確認したが正常に動作していた。交換したR7731Aが正常に動作しているのか確認するため電源電圧を測定したら1.9Vしかなかった。データシートではDC14Vが必要だ。残念ながら交換したR7731Aは動作していなかった。
AC100Vの電源を切って一次コンデンサの電荷を放電して、マルチメータでR7731Aの電源間の抵抗を測定したら200Ω程度だった。あらら、このR7731Aは壊れているようだ。こんなこともあるかと思いR7731Aを10個まとめ買いしていて良かった。
残りのR7731Aをマルチメータで点検してみた。点検方法はICの電源端子(2ピン)とフィードバック端子(7ピン)とGND(8ピン)間の抵抗値を測定した。正常であれば2つとも高インピーダンスのはずだ。その結果3個のICのみが抵抗値が無限大で、他の7個は数Ωから数100Ωの値――なんと不良品が7個もあった!!
ショックだが、気を取り直し、抵抗値が無限大だったICを電源基板に再実装し、祈る思いでAC100Vを通電して出力電圧を確認した。AC100Vを通電した電源基板と一緒に手配した電源制御ICの写真を図7に示す。
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