前回は、壊れた電源基板は電池のコネクタにDC8.4Vの電源を供給する暫定修理で何とか立ち上がり、修理の仕事は再開できた。しかし、高圧パルス電源の電圧を再測定したら、またもやオシロスコープの表示が切れてしまったのだった――。再び修理の時間がやってきた。
前々回、前回に続き、3万円オシロスコープの電源基板の修理を報告する。前回、紹介したように壊れた電源基板は電池のコネクタにDC8.4Vの電源を供給する暫定修理で何とか立ち上がり、修理の仕事は再開できた。しかし、高圧パルス電源の電圧を再測定したら、またもやオシロスコープの表示が切れてしまったのだった――。
そこで、再び、修理することになった。
まずは修理したオシロスコープの電源部の破損した箇所を再確認した。前回の経験から、破損した部品はACアダプタとDC-DCコンバータのICと思われた。ACアダプタを単品で動作を確認したら、通電してもDC12Vの電圧が出力されていなかった。破損箇所を探すためACアダプタのケースをこじ開けて詳細に電源基板を調べた。破損したACアダプタの部品面の写真を図1に示す。
図1のACアダプタはパーツショップで購入したもので、40mm×30mmと小型だがDC12Vで1Aの供給能力があった。このサイズにスイッチング電源が実装できるのは、すごいと思う。右側のトランジスタは基板に実装されていたFETを外したものだ。このFETが壊れていると思い基板から外して単品で動作を確認したが、FETは正常に動作していた。次にACアダプタのハンダ面の写真を図2に示す。
ACアダプタのトランスを駆動しているFETは破損していなかったが、基板の右下にある赤丸で示した電源制御ICが破損していると思われた。このICは2.6mmの長さで、あまりにも部品サイズが小さいため、型式を読み取ることはできなかった。制御ICの周辺を拡大した写真を図3に示す。
電源制御ICはSOT23-6のパッケージでパターンからGND、電源、ゲート出力を確認したら、1ピン、5ピン、6ピンだった。オシロスコープの電源基板に使用されていた電源制御IC(R7731A)のSOT23-6のパッケージと同じ配列だった。R7731Aのピン配置を図4に示す。
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