昔から「始めちょろちょろ中ぱっぱ…赤子泣くともフタとるな……」といわれているように、ご飯の炊く時の火加減は難しいものです。マイコンが使われるまでは、炊飯器の火加減はON/OFF制御でした。そのため火加減の制御があまりうまくいきませんでした。マイコンが使われるようになって、ヒーターの火加減を時々刻々と微妙に制御できるようになり、おいしいご飯が炊けるようになりました。
マイコンにはタイマーが搭載されています。「炊飯」スイッチが入ってから、タイマーを使って時間を計りながらヒーターの温度を調節して火加減を調節できます。また逆にヒーターの温度や炊飯釜の温度などを測定して電圧データに変換すればA-Dコンバータを使ってチェックすることができます。
お米の量や種類(うるち米やもち米)または炊き上がりの状態(硬いか、柔らかいか)をマイコンにプログラムしておけば、ユーザーは最初にメニューを選択して、後はマイコンが全部調整してくれます。このようにマイコンが炊飯の火加減を行うことで、さまざまな条件でもおいしくご飯を炊くことができます。
また、マイコンに時計・カレンダー機能の付いたRTC(Real Clock Timer)が搭載されていれば、タイマー予約で自動的に炊飯を始めて、予定時間に炊き上げてくれます。
炊飯器にマイコンが使われるようになり、火加減だけでなくタイマー予約などの補助的なヒューマンインタフェース機能も実現できるようになり、非常に便利になっています。
炊飯器以外で、特にマイコンが活躍している白モノ家電に冷蔵庫とエアコンとがあります。冷蔵庫とエアコンでは、マイコンは同じような役割を担っているので、一緒に説明します。この2つの白モノ家電にはコンプレッサが搭載されていて、モーターがコンプレッサを駆動します。このモーターの制御はマイコンのPWM(Pulse Width Modulation)で行うことができます。マイコンにもよりますが、タイマーの補助機能としてPWMが付いている製品もありますし、専用PWM機能の製品もあります。PWMの出力信号でモーターの起動、停止、速度制御を行います。
図2は冷蔵庫の例です。コンプレッサのモーター制御以外にも、マイコンが担っている機能は、いろいろあります。
*)IrDA:Infrared Data Association
これらの全ての機能を1つのマイコンが行うわけではありません。複数個のマイコンを組み合わせて制御します。
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