USB Type-Cは電子機器の充電法に変化をもたらしている。USB Type-Cは全てのモノをつなぐ標準インタフェースである。データ伝送に加え、はるかに高いレベルで電力の双方向伝送をサポートする。USB Type-Cポートのデフォルト電圧は5Vだが、プラグイン接続した機器とのネゴシエーションが可能で、12V、20V、または相互に取り決めた電圧を、相互に取り決めた電流レベルで伝送できる。
USB Type-Cポートが提供できる最大電力は20V/5A、すなわち100Wで、多くの15インチのUltrabookが要求する電力は60W前後であるため、コンピュータの充電には十分である。先鞭(せんべん)をつけたのが2015年に発表されたAppleのMacBookだが、こうした高い性能により、多くの電子機器メーカーが次世代製品にUSB Type-Cを採用するようになっている。
USB Type-C充電への移行に伴い、モバイル機器メーカーがUSB Type-Cポートに移行する際には、従来の電源アーキテクチャの変更が必要になる。図2にUSB Type-Cポートによる接続例を示す。電圧範囲が5〜20VのUSB Type-Cアダプターは、1〜4セルバッテリーを内蔵するUltrabookなどのメイン電子機器を充電できる。さらにこうしたメイン電子機器は、タブレット、スマートフォン、パワーバンクなどの外部電子機器を充電することができる。
5〜20Vの範囲のアダプター電圧で、どのように2.5〜17.2Vのバッテリーを充電するかが新しいパワーデリバリーアーキテクチャに特有な技術的課題となっている。従来のアーキテクチャのように常に「入力電圧>出力電圧」という状態ではなく、入出力電圧の状況により降圧トポロジーと昇圧トポロジーを使い分ける必要がある。
図3にプリブーストコンセプトに基づくアプローチを示す。この場合、USBアダプター電圧を使い、USBアダプターの最大電圧よりも高いレベル、例えば25Vに昇圧した後、降圧チャージャーを使ってバッテリーを充電する。このアプローチでは追加の昇圧コンバーターが必要となり、ソリューションコストとサイズが増大する。さらに、プリブーストステージで余計な電力損失が発生することから、全体的な効率が低下する。
図4は降圧チャージャーまたは昇圧チャージャーによるアプローチである。この場合、USBアダプター電圧を使い、入力電圧/出力電圧の関係に応じて降圧チャージャーまたは昇圧チャージャーを使用する。このアプローチは、プリブーストアプローチの追加的な電力損失を解消できるが、追加の昇圧チャージャーが必要で、ソリューションコストとサイズが増大する。
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