古典的なGIC(一般化インピーダンス変換器)に基づく回路である。固有の振幅安定化機能を備えた正弦波発振回路を紹介する。
図1は、古典的なGIC(一般化インピーダンス変換器)に基づく回路である。固有の振幅安定化機能を備えた正弦波発振回路だ。通常は2電源で動作する。ただし、抵抗RCCを電源VCCに接続すると単一電源電圧(VEE=0Vとする)で動かせる。
発振周波数は、抵抗R1を変えることによって調整できる。抵抗RCOMPは発振を安定化するために使用した。発振周波数とは関係しない。
残りの受動部品は4個の同じ値の抵抗と、2個のコンデンサーである。コンデンサーの値はkCとC/kにする。ここでkはスケーリング・ファクターである。古典的なGIC回路と違い、この回路では抵抗RNを両オペアンプの反転入力の間に挿入している。
GIC回路は優れた高周波特性を有する。そのため、アクティブ・フィルター回路に広く用いられている。半導体インダクターやFDNR*1)素子を実現することもできる。
*1)frequency-dependent negative resistanceの略で、周波数に依存する負性抵抗素子のこと。
この回路の機能を説明する。まず、ポート1とポート2のGIC入力インピーダンスについて述べる。簡単な回路解析から、ポート1の入力インピーダンスとして次式が得られる。
ここでRCOMP=RNの場合は、式(1)は理想的なFDNR素子を表すことに注意されたい。このFDNR素子と、ポート1から接地へのシャント抵抗R1とで、固有の発振能力を持った同調回路を形成する。しかし現実には、コンデンサーの損失と増幅器の不完全性による寄生効果のため、発振が止まってしまう。
式(1)の第2項はRCOMP<RNの場合に負性容量を示す。このことを利用して図1の回路では、損失を補償している。実際にはRN=Rとし、抵抗比RCOMP/Rは1より小さくて1に近い値に選ぶ(例えばRCOMP/R=0.95〜0.98とする)。
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