次にポート2について解析する。入力インピーダンスZIN2は、理想インダクタンスと直列接続した負性抵抗で表される。このインピーダンスをコンデンサーと抵抗(図1のC/kおよびRCOMP)でシャントし、無損失のLCタンク回路を形成する。このタンク回路は、RCOMP<R=RNの条件を満たせば発振する。すなわち、次式(2)の周波数で確実に発振を開始する。
図1の回路パラメーターの場合、IC2は飽和し、クリップされた正弦波信号をVOUT2に出力する。VOUT1はVOUT2がフィルターされた信号になる。したがって、振幅安定化には追加の回路は不要である。ただし、VOUT1の正弦波信号の品質は次式(3)で与えられる共振回路のQ値に依存する。
ここで容量スケーリングファクターk=4、C=100nF、(RN−RCOMP)=50Ωとして、Q>100が得られる。VOUT1にはf0=1kHzで全高調波ひずみが1%より低い信号が出力される。正弦波信号のピーク・ツー・ピーク振幅(頂点間振幅)は電源電圧範囲より約1V小さくなる。
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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