5Gの要素実現に向けて、センチ波やミリ波などの周波数帯、新たな変調方式などが活発に議論されている。連載第2回目となる今回は、5G実現に向けた新たなエアインタフェースについて解説する。
「World Radio Communication Conference 2015(WRC2015)」で、第5世代移動通信(5G)の周波数帯に6GHzを超えるセンチ波、ミリ波帯の候補が選定された。まだ明確になっていない6GHzを超える周波数帯のチャンネルモデルを明らかにし、どのようにeMBB(enhanced Mobile BroadBand)をサポートするかが課題の1つとなっている。
効率的な周波数の利用、低遅延など5Gの要件実現に向け、LTE/LTE-Advancedで用いられるOFDM変調方式を進化させた方式や、新たな変調方式が議論されている。連載2回目となる今回は、5G実現に向けた新たなエアインタフェースについて解説する。
シャノンの公式に基づくと、システム容量を増加させる最も容易な方法は、送信する帯域幅(バンド幅)を広げることである。現在、利用可能な6GHz以下の周波数帯では、テレビ信号やその他の用途として既に使用されているため、帯域幅を広げることは難しい。仮に広げることができたとしても、1.3GHz程度の帯域しか5Gのために確保することができない。ITU(国際電気通信連合)の調査によると、センチ波(20GHz)以上の周波数帯においては、トータルで30GHz以上の帯域幅を確保できる。そのため、各信号に1〜2GHzもの帯域を割り当てることが可能である。また、カバレッジ、ハイモビリティ、高信頼性を確保するためには6GHz以下の利用も必要不可欠である。
WRC2015において、6GHz以上の周波数で5Gのサポートが可能となりそうな周波数帯として7つの候補が挙げられた。詳細は、下記の図を見てほしい。
24.25〜27.5GHz
31.8〜33.4GHz
37.0〜43.5GHz
45.4〜50.2GHz
50.4〜52.6GHz
66〜76GHz
81〜86GHz
北米、韓国、日本で盛んに研究されている28GHz帯は残念ながら候補に含まれていない。28GHz帯は、中国や欧州などで衛星通信用途に割り当てられており、ワールドワイドで利用することが難しいからだ。
現段階でどの周波数帯が5G用途として利用されるか、明確な答えはない。2019年に開催される次回のWRC 2019において、5Gで利用する周波数帯の最終決定が期待されている。
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