今回は、低消費電流で100マイクロ秒幅のリセットパルスを発生する回路を紹介する。
プロセッサ制御のデバイスを高い信頼性を確保しつつ動かすときは、ウォッチドッグ機能に頼らず、周期的にプロセッサをリセットすることが少なくない。低消費電力が要求される回路においては、この周期的なリセット回路がシステムの許容電流の大部分を消費してしまったり、低電圧駆動を妨げたりすることがある。
図1は、100マイクロ秒幅のリセットパルス(降下パルス)を発生する回路である。動作時の消費電流は1μA未満と少ない。電源電圧1.8〜5Vで、出力の周期をほぼ変えずに動く。この回路は、ごく普通のリラクセーション発振器の応用である。微分器とダイオードクランプ出力によって100マイクロ秒幅の降下パルスを発生する。
出力波形の周期は、R1とC1の定数を変えることによって調整できる。降下パルスのパルス幅は、RP、CPの定数を変更することで変えられる。ダイオードD1の接続を変えて極性を反転させることでもパルス幅の変更が行える。
図2(a)には、比較器(図1のIC1)の出力波形を示した。周期は約1.3秒である。周期は電源電圧が4.5Vのときに1.308秒であり、1.8Vのときに1.306秒になる。
図2(b)には、リセットパルスの詳細な波形を示した。代表的なリラクセーション発振器の出力波形である。パルス幅は100マイクロ秒。このパルス幅は、指数関数的に約30%減衰した時点と定義した。
実際に測定したところ、回路全体の消費電流は1μAに満たなかった。消費電流は極めて少なく、単3リチウム電池1本で250年間動かせるレベルである。
回路素子を選ぶことによって、周期をミリ秒レベルから分のレベルの範囲で変えられる。温度安定性を高めるには、R1とRPに金属皮膜抵抗器を、C1とCPにNP0(Negative Positive Zero)タイプのコンデンサーを用いる。
電源電圧の30%の電圧をリセット論理のしきい値電圧と仮定すると、以下の数式で出力パルス幅と周期を計算できる。パルス幅=0.36×RP×CP、周期=0.4×R1×C1である。
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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