ルネサス エレクトロニクスは、国際標準規格「DLMS」に対応したスマートメーター用マイコン「RL78/I1C」を発表した。演算性能が向上したほか、電力量計測処理とDLMS処理に1チップで対応できるため、消費電力が約30%低減した。
ルネサス エレクトロニクスは2016年8月、電力メーター市場向けに、国際標準規格「DLMS」に対応したスマートメーター用マイコン「RL78/I1C」を発表した。
RL78/I1Cは、米国商務省標準技術局(NIST)が制定するAES(Advanced Encryption Standard)ハードウェア・エンジンを搭載。データの暗号化と認証を同時に行うGCM(Galois/Counter Mode)をハードウェア化することで、同社従来品のソフトウェア処理に比べ、暗号・復号演算が20倍以上高速化した。
PLLや32ビット乗算・積和演算器を搭載し、電力演算で必要となる演算性能が約30%向上している。加えて、電力量計測処理とDLMS処理を1チップで可能とし、電力計測用マイコンとDLMS処理専用マイコンによる2チップ構成に比べて、消費電力が約30%低減した。
さらに、イベント・リンク・コントローラー機能を搭載した他、位相調整機能も強化した。24ビットΔΣ型A-Dコンバーター4チャネルと10ビット逐次変換型A-Dコンバーター3チャネルを連携させ、三相4線で必要となる7チャネルの電流/電圧の測量を可能にした。これにより、単相2線から三相3線、三相4線式メーターに対応できる。
内蔵のフラッシュメモリは、256K、128K、64Kバイトの容量タイプをそろえ、地域や用途に応じて選択できる。パッケージは、64ピンないし80ピン、100ピンのLFQFPで提供。サンプル価格は、メモリ容量256Kバイトの「R5F10NPJ」が370円(税別)となる。併せて、メーターアナログ評価キットとメーターレファレンスキットも提供しており、ユーザー独自の開発に比べて、開発期間を約25%短縮できるとしている。
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