TDKは、低損失で大電流化を実現した電源回路用薄膜インダクター「TFM160808ALCシリーズ」を開発した。新しい金属磁性材料と、独自の薄膜パターン技術を採用したことで、0.47μHの従来品と比較して直流抵抗を約30%低減。2017年1月から量産を開始している。
TDKは2017年1月17日、低損失で大電流化を実現した電源回路用薄膜インダクター「TFM160808ALCシリーズ」を開発したと発表した。サイズは1.6×0.8×0.8mmで、インダクタンスは0.47±20%μH。直流抵抗は最大62mΩ、定格電流は最大2.6Aとなっている。スマートフォン(スマホ)やタブレット端末への展開を狙う。
スマホやタブレット端末は多機能化に伴い、必要となる電源回路用インダクターの個数は増加傾向にある。同社の説明員は「従来は3〜13個で良かったが、現在は15〜25個ほどの数を必要としている」と語る。そのため、小型サイズで大電流に対応することと、バッテリー寿命を伸ばすための低損失化が求められているという。
今回、製品の低ロス化を実現する新しい金属磁性材料を開発。磁気ヘッド事業を通して培った薄膜プロセスと、受動部品事業を通して培った材料プロセスを組み合わせた独自の薄膜パターン技術も採用し、小型で低損失、大電流化を可能にした。
0.47μHの従来品と比較すると、直流抵抗を約30%低減している。出力電流10m〜2.5Aの範囲では、効率が約1%向上し「電源効率の改善に寄与する」(説明員)と語る。
サンプル価格は、1個当たり30円(税別)。2017年1月から量産を開始し、月産規模は1000万個を予定する。2.6×1.6mmや2.0×1.25mmサイズの製品拡充も予定している。
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