前回に引き続き、「国家技能検定3級(シーケンス制御作業)」の受験対策指導の模様をお伝えする。今回は、演習問題を使って具体的にプログラムの作り方を紹介していく。
前回はシーケンサーや開発ソフトの簡単な使い方とシーケンサーの技能検定試験(国家技能検定3級[シーケンス制御作業])の流れを説明した。今回は技能検定対策として、演習問題を使って具体的にプログラムの作り方を説明していこう。ちなみにこの演習問題は高等専門学校生を対象にしたインターンシップ用に作ったものだ。演習問題を以下に示す。
【内容】
【動作】
【I/O割付表】
入力 | Xポート | 機能(メモ) | 出力 | Yポート | 機能(メモ) | |
---|---|---|---|---|---|---|
起動スイッチ | 電源投入表示 | |||||
停止スイッチ | ベルトA→B | |||||
配送スイッチ | B到着表示 | |||||
返送スイッチ | ベルトB→A | |||||
A位置センサー | A返却表示 | |||||
B位置センサー | ベルト動作中 | |||||
【イメージ】
この問題はシーケンサーの6個の入力と6個の出力を使って、ベルトを正転、逆転させて荷物を入れたケースを移送させる搬送システムに関する問題だ。国家技能検定3級[シーケンス制御作業]も過去に、これと類似した搬送動作の問題が出されている。
この搬送システムのハードウェアを理解する上で最も重要になるポイントがモーター回転方向の制御方法だ。モーターにはブラシ付きモーターを使用している。ブラシ付きモーターは印加する電源の極性を変えると回転方向が変わるという特徴を持つ。演習問題の【イメージ】左下にモーターとリレー接点の接続回路が記載されている。2つのリレー接点のコモンはモーターに、NCはGNDに、NOは電源に接続されている。2つのリレーがオフになっている時はモーター両端に0Vが接続されるので、モーターには電磁ブレーキがかかり停止する。左側のリレーがオンすれば、モーターの左から右へ電流が流れてモーターは右回転を行う。右側のリレーがオンすれば、モーターの右から左に電流が流れてモーターは左回転になる。もし誤って両方のリレーをオンされた場合には、モーターの両端は24Vに接続されるので、モーターには電磁ブレーキかかかって停止することになる。その他のハードウェア部分の回路図は簡易な入出力の回路になるので記載を省いている。シーケンサーの各入力にはスイッチやセンサーの接点を接続し、シーケンサーの各出力には表示用ランプを接続している。
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