今回は、高速差動伝送で使用されている代表的な物理層である「LVDS」「PECL」「CML」の特長、接続方法、用途例を紹介していきます。
LVDS、PECL、CMLは現在の高速差動伝送で使用されている代表的な物理層です。今回はこれら物理層の特長、接続方法、アプリケーション例を説明していきます。
LVDS、PECL、CMLの各差動物理層はアプリケーションや帯域、トポロジ(接続形態)、電気的要求仕様に合わせて適材適所で使用されています。
図1に示したグラフは縦軸を電圧としたグラフで、各差動物理層の主要な電気的パラメーターを並べて比較しています。実線と点線の交差部分は出力信号のコモンモード電圧、上下の幅は振幅を示しています。また各信号の右側の赤矢印は入力側のコモンモード電圧範囲になります。
この図1、表1から、各差動信号の仕様はコモンモード電圧のようにそれぞれ異なる部分と、振幅のようにある程度共通している部分があることが分かります。
100Ω終端時 | LVDS | PECL | LVPECL | CML | RS-422 |
---|---|---|---|---|---|
TX Voh | 1.425V | 4.0V | 2.3V | Vcc | Vcm+1/2Vod |
TX Vol | 1.075V | 3.2V | 1.6V | Vcc〜0.8V | Vcm−1/2Vod |
TX Vod | 350mV | 800mV | 700mV | 800mV | ±2〜5V |
TX Vcm | 1.25V | 3.6V | 1.95V | Vcc〜0.4V | <3V |
RX Threshold | <±100mV | <±100〜200mV | <±100mV | <±50〜100mV | <±200mV |
RX Vcm | Gnd to 2.4V | デバイス依存 | デバイス依存 | デバイス依存 | ±7V |
青線で記したLVDS系は入力コモンモード電圧範囲(グラフでは赤矢印の長さで表現)が広いことが特長です。PECL系、CML系はLVDS系よりも高速性や低ジッタを要求されるため、特性的に最適になるように入力コモンモード電圧は狭くなっています。
レシーバー帯域内であれば、入力コモンモード電圧範囲内の信号は他の差動仕様でもDC接続で受信可能です。
また異なる規格同士でも出力側の振幅が入力側の条件を満たしデバイスの帯域内であれば、DCバランスコーディングが必要になりますがAC接続が可能になります。それではそれぞれの物理層の特長を見ていきましょう。
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