後は元通りに分解したパーツを組み立てれば良い。この説明は割愛するが、この元通りに戻す作業が今回の修理で、最も大変な作業だった。試行錯誤して何とかプリンターの組み立てが完了し、組み上げ後に通電してコピーを試みた。コピーした結果を図4に示す。
コピーした紙が少し汚れているが、A4の紙にコピーできた。また、インクジェット部が移動するときには異音は出なかったので、これで大丈夫だろう。
プリンターの分解時に、タイミングベルトが切れたタイミングで印刷しようとしていた2枚の印刷用紙が見つかった。この2枚の紙と組み立てで取り付けできなかった右側のバネと余ったネジの写真を図5に示す。
図5の左側の汚れた紙と中央の厚手の写真紙の2枚の紙で、タイミングベルトが切れた原因が分かった。
タイミングベルトが切れたメカニズムは次の通りだ。
まず、紙送りガイドに何らかの原因でコピー用紙が引っ掛かって残っていた。図5左側の汚れた紙がそれだ。しかし、この引っ掛かって残った紙の下を通過して、薄いコピー用紙は何とか印刷はできていた。しかし、厚手の写真紙を印刷したときに、ガイドに引っ掛かった薄い紙で写真紙が浮き上がり、インクジェット部に引っ掛かってしまった。これで、インクジェット部が止まったので、タイミングベルトも動かなくなった。そして、モーターの回転トルクでタイミングベルトが歯車との摩擦で切れたようだ。印刷時の『キャー』という悲鳴音はタイミングベルトが歯車から外れて、モーターが高速回転して歯車とベルトに当たって発生した音だった。
薄いコピー用紙を印刷した際の悲鳴のような音を聞いたときに、その音の原因をしっかり調べるべきだったと反省している。修理後に厚手の写真紙を再度印刷してみたが正常に印字できた。
これでプリンターは修理完了だと思ったが数日後に印刷の不具合が見つかった。それは印刷行の最初の文字の位置が安定していないようで文字がずれて2重に印刷されていた。それ以降の行の文字の印刷は問題ない。印刷の状態を調べて原因が分かったが、図3で取り付けたタイミングベルトの取り付け向きが逆だった。これでベルトにねじれが発生して印刷文字の初期位置が変動していた。プリンターを再度分解して、タイミングベルトの固定をひっくり返してベルトのねじれを解消したら、最初の文字位置も正常に印刷できるようになった。これでもう大丈夫だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.