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データシートを正しく理解するなら「凡例」から気を抜くなマイコン講座 データシートの読み方編(1)(1/3 ページ)

今回から3回にわたり、マイコン製品のデータシートを正しく理解することを目的に、実際のデータシートを見ながら、データシートの注意点を紹介していこう。第1回は、おろそかにされがちな「凡例」をはじめ、「絶対最大定格」「一般動作条件」「電源電圧立ち上がり/立ち下がり時間」の各項目について解説していく。

» 2017年09月26日 11時00分 公開

マイコンのデータシートを正しく理解しよう

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 マイコンを使う際に、必ず読まなくてはならないのがマニュアル(リファレンスマニュアル、ユーザーマニュアルなど)とデータシートだ。マニュアルには、懇切丁寧にマイコンの使い方が書かれているので分かりやすい。一方でデータシートは、項目と数字の羅列がほとんどで、説明文がない。そのため、データシートに記されている数字の意味を取り違えるユーザーが多くいる。

 例えば、データシートに記載されているにもかかわらず、意味を理解していないために、データシートに記載されている内容と全く同じことをメーカーに問い合わせてしまう。場合によっては、自分の都合の良いように数字を解釈して、間違った設計を行ってしまう。こうしたユーザーが見受けられる。

 そこで、本記事では、STマイクロエレクトロニクスの32ビットマイコン「STM32ファミリ」のデータシートを例にとってマイコンメーカーエンジニアの立場から、過去にユーザーから問い合わせの多かった内容と問題事例を中心に、データシートの記載内容と数字の意味を3回に分けて解説する。

 第1回の今回は、最初に「凡例」「絶対最大定格」「一般動作条件」「電源電圧立ち上がり/立ち下がり時間」を解説する。第2回では「消費電流」「低消費電力モードからの復帰時間」「発振回路特性」について触れる。第3回は「フラッシュメモリ特性」「ラッチアップ、EMS、EMI、ESD」「汎用I/O」「リセット回路特性」「通信機能特性(SPI)」「A-Dコンバーター特性」を解説する予定だ。

凡例

 案外、おろそかにしてしまうのが、凡例だ。この凡例に記載されている内容を間違って解釈し、電気的特性などを見てしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことになる。図1にマイコン製品「STM32F401」のデータシート(以降、製品名は省略)に記載されているピン配置表の凡例を示す。

図1:凡例(32ビットマイコン「STM32ファミリ」のデータシートより抜粋) (クリックで拡大)

 図中の「FT」「B」「NRST」などは製品固有の名前なので、マニュアルなども併用して、機能を確認しておく必要がある。

 この製品でユーザーがよく間違ってしまうことは、「Bidirectional reset pin(入出力リセット端子)」を見落として、常にNRST端子をリセットICでドライブする回路に設計してしまうことだ。マイコンからリセット信号を出力すると、信号がぶつかってしまい、誤動作してしまう。そのため「リセットがうまくかからない」という問い合わせが時々ある。

 製品固有の名前や機能については、データシートの各項目の詳細をマニュアルで確認する必要がある。

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