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正確なワイヤレス電流検出を可能にする回路Design Ideas アナログ機能回路(1/3 ページ)

電流検出回路の多くは、検出抵抗の両端に電圧降下を発生させ、その電圧から電流を割り出しています。ところが、検出抵抗がシステムグランドと大きく異なる電圧になる場合、問題が急激に複雑化します。そこで、そうした問題を抱えないワイヤレスの電流検出回路を紹介します。

» 2017年10月19日 11時00分 公開

検出抵抗をどこにでも設置可能に

 多くの電流検出回路は、検出抵抗の両端に電圧降下を発生させ、その電圧を増幅し、A-Dコンバーター(以下、ADC)を使用してその値を読み出し、電流を知るという、同じシンプルな方法に従っています。ところが、検出抵抗がシステムグランドと大きく異なる電圧になる場合、問題が急激に複雑化します。標準的なソリューションは、アナログ領域またはデジタル領域のいずれかにおける電圧差を埋めます。しかしここでは、ワイヤレスという別の方法を示します。

 高電位側電流検出アンプは、アナログ領域で動作します。それらのデバイスは小型ですが、耐えられる電圧差が半導体プロセスによって制限されています。100Vを超える定格を持つデバイスは、ほとんどありません。これらの回路は、検出抵抗の同相電圧が急速に変化したり、システムグランドの上下に振幅した場合、通常は精度が低下します。

 磁気アイソレーターまたは光アイソレーターは、通常、デジタル領域内の絶縁障壁を跨ぎます。ハードウェアが少し大きくなりますが、精度を失わずに動作することができ、標準で数千ボルトに耐えられます。これらの回路は絶縁型電源を必要としますが、この絶縁型電源は、しばしばアイソレーター部品に内蔵できます。検出抵抗がメインシステムから分離されている場合、長いワイヤまたはケーブルを走らせることが必要な場合があります。

 最近の低消費電力シグナルコンディショニング技術、ワイヤレス技術は、新しい方法を提供しています。検出抵抗の同相電圧で回路全体をフロート状態にし、測定されたデータをワイヤレスに送信することによって、電圧の制限がなくなります。検出抵抗をどこに配置してもよく、ケーブルを走らせる必要はありません。回路の消費電力が非常に低い場合は、絶縁型電源さえ不要になり、代わりに、小型バッテリーから何年も動作させることができます。

ワイヤレス電流検出回路

 図1の電流検出回路では、チョッパ安定オペアンプ「LTC2063」を使用して検出抵抗の両端の電圧降下を増幅しています。

図1:低消費電力ワイヤレス電流検出回路が、検出電圧を増幅する低消費電力チョッパ・オペアンプによって形成され、低消費電力A/Dコンバータおよびリファレンスを使用してデジタル化され、SmartMesh IPワイヤレス(無線)モジュールに接続されます。低消費電力DC/DCコンバータは、バッテリをコンディショニングして、バッテリから消費した電荷を記録します。

 逐次比較型(SAR)のADC「AD7988」が値をデジタル化し、SPIインタフェースを介してその結果を通知します。LTP5901-IPMは、他の近くのノードとともにIPベースのメッシュネットワークを自動的に形成するワイヤレスモジュールです。このデバイスは、ADCのSPIポートを読み出すマイクロプロセッサも内蔵しています。「LTC3335」は、バッテリー電圧を定出力電圧に変換する昇降圧レギュレーターです。このデバイスは、バッテリーから消費した累積的な電荷量を通知するクーロンカウンターも内蔵しています。

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