電源に乗るノイズについて考察する。今回は、比較的ノイズの多い「安定化電源」と、ノイズの少ない「単1形乾電池」を用いた。理論的には、「単1形乾電池」はノイズをほとんど発生しないが、それでも変換誤差は現れた。これは、外来ノイズの影響が大きいと推測される。そこで「単1形乾電池×2個」の場合の測定環境を変えてみた。今回の測定は、実験用の机の上(PCは内蔵の充電池から給電し、机上にはノイズ発生要因の少ない環境)で行ったが、試しに筆者のオフィスの机の上で、電源ノイズを測定してみた。机上にはPC(商用電源から給電)、携帯電話機、小型扇風機、脇には共用のマルチファンクションプリンタが稼働している。図6(a)に、前回記事の「図2(b)単1形乾電池×2:デカップリングコンデンサーなし」を再掲載し、図6(b)に筆者の机上の計測結果を示す。全く同じ測定装置(同じ乾電池、同じボード、同じマイコン)にもかかわらず、ノイズのレベルが変わっていることが分かる。
この実験で、ノイズの少ない電源を使用しても、外来ノイズが、電源に乗るノイズに大きな影響を与えることが分かる。
今回の平均化は1024回で行ったが、試しに64回の平均化での実験を試みた。結果を図7に示す。残念ながら、データシートに記載されたスペックには達しなかった。しかし、明らかに平均化のノイズ除去効果は認められる。
最終的な平均化の回数は、ユーザーのノイズ環境に大きく依存するので、ユーザーが決める必要がある。
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