外部攻撃を検知すると、「タンパ検知機能」はCPUに対して、割り込み要求を発生させ、緊急処置の割り込みサービスルーティンを実行させます。この時、CPUが別の割り込みを処理していて、「タンパ検知機能」の割り込みが保留されてはいけないので、優先順位が最高で、必ず受け付けられるNMI(Non-Maskable Interrupt)に割り当てられます。
主電源がオフの時には、CPUは動作できませんが、前述したタンパ信号をラッチする機能は、バックアップ電源で動作しますので、主電源が回復すると同時に、CPUはNMI処理を開始できます。
NMIのサービスルーティンの中で、緊急事態の通報を行います。電力メーターであれば、各家庭、各工場などの電力メーターの集中処理を行っている電力会社のコンピュータに、通信機能を用いて緊急通報を行います。
主電源のVDDの電源供給が停止してもデータを保持できるように、バックアップドメインに、バックアップデータレジスタが搭載されています。ユーザーは、主電源の供給停止の際でも保持しなければならない最重要データを入れておくことができます。しかし、タンパ信号の検出時には、最重要データを盗まれたり、改ざんされたりすることを防ぐ必要があります。そこで、バックアップデータレジスタの内容はハードウェアで自動的に消去されます。
日系半導体メーカーにて、25年以上にわたりマイコンの設計業務に携わる。その後、STマイクロエレクトロニクスに入社し、現在までARM Cortex-Mプロセッサを搭載したSTM32ファミリの技術サポート業務に従事。ARMマイコン以外にも精通しており、一般的な4ビットマイコンから32ビットマイコンまで幅広い知識を有する。業務の傍らマイコンに関する技術論文や記事の執筆を行っており、複雑な技術を誰にでも分かりやすい文章で解説することがモットー。
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