類似スイッチを探してみると、同じ外形サイズのスイッチがパーツショップで見つかった。しかしスイッチに内蔵されたLEDのピン配置や回路の構成が違った。類似品のデータシートを詳細に確認すると、スイッチを180度回転して実装し、LEDの電流調整の抵抗値を変えることで、使えそうなことが分かった。
この代替できそうなスイッチの現物を入手し、細かく調べた。スイッチの背面の取り付けガイドをニッパーで切った。また基板に実装された抵抗の値も変更した。代替スイッチを試行錯誤して取り付け、やっとスイッチが実装できた。早速、動作確認をすると、代替のスイッチにはもちろんクリック感があり操作がスムーズになった。「これで大丈夫!」と残りの2個のスイッチも同様に交換して納品した。翌日に顧客から「無事、操作できた」との返事があった。
何とか修理できたこのスイッチ不良は今後も発生する可能性が非常に高いと思われた。そこで、スイッチ交換の作業が顧客でも実施できるように改造手順の資料を作り、客先に出張してスイッチ交換を実施し、顧客に作業方法を指導した。これでスイッチ交換は顧客でも実施できるはずだ。
ところが、数日後に『スイッチを操作したが動作しない』と同じ機器の修理依頼があった。スイッチ2個が動作せず、1個のスイッチはパネル基板から外してあった。どうやら顧客でスイッチ交換を試みたが完了できなかったようだ。操作部の写真を図2に示す。
このパネルを見て少し疑問を感じた。稼働中の機器の故障であれば複数個のスイッチが同時に壊れることはない。なにか他の要因があったのではないか。ひょっとしたら、水がかかったのでは? と疑ったが、顧客によれば「この修理品は倉庫に長期間保管してあった」ということらしい。
ともかく、ケースを開けて、電源基板を確認すると24V電源は正常だった。しかし、1台目と同様に5V出力電圧は3.5Vしかなかった。5V電源に5Wのダミー抵抗を接続してみると、5V出力が正常な電圧値になった。5V電源にダミーで電流を流せば良いかもしれない。ただ、少し不安もあったので1台目と同じように24V電源から5V電源を生成する改造を行った。今回は少し小形のダウンコンバーターで改造した。改造した基板を図3に示す。
図3の左下に追加したダウンコンバーターがある。ここまでの修理はスムーズだったが、大きな問題がスイッチの内部に隠れていた。
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