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リレー(2)――その他の構造のリレー中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(27)(1/3 ページ)

今回はヒンジ型以外の構造を持つリレー(リードリレー/水銀リレー、MBB型接点構造のリレー、ラッチングリレー)について説明します。

» 2019年01月28日 11時00分 公開

 前回は小信号用リレーの中でも汎用的なヒンジ型の構造を持つリレーについて概要を説明しました。
 今回はヒンジ型以外の構造を持つリレーについて説明したいと思います。

リードリレー/水銀リレー

 おおまかに言えば、リードリレーはリード接点と呼ばれる構造のスイッチ(SW)を、水銀リレーは水銀SWを外部磁界で駆動するものです。

図1:リードリレーと水銀リレー

 リードSWは図1(a)に示すようにパーマロイ(鉄ーニッケル合金)などの強磁性体でできた支持体に接点を設け、この構造体を不活性ガス(窒素ガス)が充填(じゅうてん)されたガラスチューブ内に封入したものです。そしてリードリレーは図1(b)に示すようにこのリードSWの外周にコイルを設けた構成になっています。
 コイルが通電されて磁束が支持体(強磁性体)を通過すると磁気的吸引力によって支持体同士で引き合い接点が閉じます。もちろん磁束がなくなれば支持体の剛性によって初期状態に復帰します。

【利点】

  1. 高信頼性
    • 接点部はガラス管内に不活性ガスが封入されているので、接点部の劣化などは起こりにくいです。
  2. 高速動作
    • 可動部の慣性質量が少なく、かつ接点の移動距離及が短いため動作、復帰時間がヒンジ型の10分の1程度(1ミリ秒〜3ミリ秒)と高速であり、バウンス周期も短くなります。
  3. 長寿命
    • 接点面の摺動(しゅうどう)がほとんどないので機械的耐久性が極めて長くなります。
  4. 小型・小電力
    • 全体の駆動質量が少ないので駆動電力が小さく半導体の回路などで容易に駆動できます。

【欠点】

  1. 支持体の復元力が弱く、接点の溶着や粘着(スティッキング)により復帰不良になりやすいです。
  2. 電磁力が弱いので機械的衝撃によって接点が過渡的にON/OFFすることがあります。
  3. ヒンジ型などに比べて高速動作が可能ですので駆動電源の商用リップル成分(8.3ミリ秒〜10ミリ秒)が大きい場合にはON/OFFを繰り返します。

 一方水銀リレーは図1(c)に示すように、リードリレーのSW部を水銀SWに替えたものです。水銀SWはガラス管の中に少量の水銀を挿入してあり、片側(下側)の接点は水銀の表面張力で濡れています。
 接点のON/OFF時には水銀の粘性によってバウンスは生じませんが、水銀が重力によって移動するのでリレーの設置方向が制限されます(上下方向が指定されています)。

 またリードリレーと同じ構造ですので利点欠点も同様に内在します。
 これらのリレーは主としてDC100V以下、開閉電流0.5A以下の信号用リレーとして用いられます。

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