人工ニューラルネットワークの学習で構築された推論アルゴリズムがマイコンに移植されれば、あとはマイコンを動作させるだけだ。実際に何かしらの入力から、期待した出力が得られるかどうかを確認すればよい(図6)
もし推論アルゴリズムを変更したいときは、ニューラルネットワーク・モデルの学習まで戻る手間が必要であるが、マイコンで比較的容易にAI機能を実現することができる。ここがマイコンを使った組み込みAIの最大のポイントである。
注意してもらいたい点は、最終的に学習済みニューラルネットワークをマイコン用コードへ変換するからと言って、使用するマイコンは、何でもよいわけではない。推論アルゴリズムのパフォーマンスを十分出せる高性能なマイコンを選択する必要がある。
実際に「組み込みAI」を試してみたい方は、マイコンメーカーまたはマイコンのパートナー企業が提供している評価キットを使うのがおすすめだ。STマイクロエレクトロ二クスでは各種センサーや通信機能を備えたIoT端末開発用モジュール「SensorTile」を搭載した「STEVAL-STLKT01V1」*3)という組み込みAI開発ボードを提供している(図7)
こうした開発ボードには、専用のモバイルアプリを含む、ソフトウェア、ファームウェアライブラリーも提供されている。こうしたボードを使えば、このボードを身に付けた人が走っているのか、歩いているのか、止まっているのかなどを組み込みAIによって判断するデモを簡単に作ることができる。
SensorTileは前述したSTM32Cube.AIを構成するハードウエアとして使用できるため、これらの組み合わせで簡単に「組み込みAI」を体験することができる。
マイコンで実現するAI ――「組み込みAI」とは
マイコンのセキュリティ機能を詳細解説 〜ハードウェア編
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