フィルムキャパシター全般の使用上および、取り扱いや保管を含めた注意事項について説明します。
前回はフィルムキャパシターの大きな特徴であるメタライズド品の構造と特徴的なヒーリング機能について説明するとともにディレーティングの考え方について説明しました。
今回はフィルムキャパシター全般の使用上および、取り扱いや保管を含めた注意事項について説明します。
基本的な考え方は機械的な注意点に加えて、フィルムキャパシターの主要構成材料が極薄の箔構造の有機材料であるという点です。
有機物はその構造に炭素や水素、窒素、酸素などを含みますが、紫外線や熱エネルギーなどによって炭素結合の結合手が切られると炭素が遊離して導電路が形成されます。特に箔のような薄い構造の場合にはこの導電路によって絶縁性が著しく低下しますので使用に当っては電圧、電流、温度のディレーティングの他にも熱やガス、紫外線などの環境などに対する配慮が必要になります。
その主な注意事項を表1、表2にまとめます。注意すべき項目が多いように見えますが、標準品や設計標準を制定すれば判断に迷うことなく使用できると思います。
【注1】安全規格で使用することが要求されている安全キャパシター(例:AC〜AC間、AC〜接地間、AC〜2次回路間、など)については各国の法律の要求事項に従ってください。
【注2】成形品などミリ単位の構造物であればこのような顕著な劣化は見られませんが極薄のミクロン単位の箔であればこのような劣化は顕著に表れます。
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