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繰り返すエンストの恐怖 ―― 劣化した車のバッテリーを復活させる方法(1)Wired, Weird(2/3 ページ)

» 2019年08月08日 11時30分 公開

『デサルフェーション回路』とは?実際に試作してみる。

 なぜバッテリーが劣化するのか?

 マイカーに使用されていたバッテリーには鉛蓄電池が使用されていて、バッテリーが放電すると電極の鉛の表面に硫酸鉛が生成されるのだが、この時にバッテリーを充電しないと硫酸鉛が鉛電極に付着し、放置すると電極の抵抗が大きくなる。これがバッテリーの性能が低下する原因だった。

 この鉛電極に付着した硫酸鉛がサルフェーションと呼ばれていて、『デサルフェーション回路』とは、サルフェーションを除去する回路のことだ。デサルフェーション回路によるバッテリー回復の基本的な考え方は、バッテリーに高周波のパルス電流を流し、電極に付着した硫酸鉛(サルフェーション)を壊すことだった。

 Webで見つけた回路では、12Vのバッテリーで周波数が3kHzから10kHz程度で約30Vのパルス電圧を印加していた。パルス電圧の生成にはチョークコイルを使い、DC12Vの電源でコイルに直列接続したFETを短時間オンさせてコイルに電流を流し、FETをオフさせた時に発生する逆起電圧をバッテリーに印加する方法だった。

 この回路ならばシリアルオシレーターを使えば簡単に作れそうだ。手持ちの部品を使って最初に試作した改善器の回路図を図2に示す。

図2:最初に試作したバッテリー改善器の回路図

 図2の左半分はおなじみのシリアルオシレーターで、FETから右半分はパルス電圧の発生回路だ。Webで見つけた回路にはコンデンサーC2はなかったが、バッテリーに印加するパルス電圧の振幅を大きくするために0.1μFのコンデンサーを追加した。試作した基板の写真を図3に示す。

図3:実際に試作したバッテリー改善器の基板(クリックで拡大)

 図3の左上の部品の固まりがシリアルオシレーターで、右側のFETの周辺がパルス電圧発生回路だ。

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