理想的には、定電圧源とは負荷によらず設定した電圧値を出力できるものである。また、定電流源とは負荷によらず設定した電流値を出力できるものである。直流電源では、定電圧源として動作させる場合が多い。二次電池の充電やレーザダイオードやLEDの試験では、定電流源として使われる。
実際の直流電源では、発生電圧や発生電流に上限があるため、設定した電圧値および電流値と負荷の関係で、定電圧源として動作する場合と定電流源として動作する場合に分かれる。
定電圧(CV)と定電流(CC)のどちらで動作するかは、電圧設定値(Vs)、電流設定値(Is)、抵抗負荷値(RL)、臨界抵抗値(RC=Vs/Is)に依存する。負荷抵抗が臨界抵抗より大きいときは定電圧(CV)動作となる。すなわち、出力電圧は電圧設定値(Vs)と等しくなるが、出力電流は電流設定値(Is)より小さくなる。負荷抵抗を小さくして出力電流が電流設定値(Is)に達すると、定電流(CC)動作に移行する。
直流電源は上記のような仕組みのため、電流設定値(Is)を0Aと設定した場合は、負荷に電流が流れないので、出力をオンしても設定電圧にならないという現象が生じる。このようなときは、電流設定値を大きくすると設定電圧になる。
直流電源の前面パネルには定電圧(CV)動作をしているか、定電流(CC)動作をしているかを示す表示がある。
直流電源の特性を理解するには、その他の特性を示す用語を理解する必要がある
多くの直流電源は、出力電力別に製品がラインアップされている。そのため、同じ出力電力であっても高い電圧が出力できる製品と大きな電流を出せる製品に分かれる。
出力した最大電圧と最大電流から製品を選ぶことになる。また、ワイドレンジ電源では最大電力の上限もあるため注意が必要である。
スルーレート制御がオフの状態で負荷状態(全負荷、無負荷)を規定して、入力電源を投入した時にゼロ出力から定格設定値まで変化する過程の「10%から90%」までの時間を、立ち上り時間とする。また、入力電源を遮断した時に定格設定値からゼロ出力まで変化する過程の「90%から10%」までの時間を、立ち下り時間とする。
立ち上り時間と立ち下り時間は、定電圧動作と定電流動作のそれぞれが仕様で規定されている。
直流電源の破損を防ぐために、異常な状態を検知して安全な状態とする制御機能がある。保護機能には過電圧(OVP)、過電流(OCP)、過熱(OHP)、AC入力低下保護(AC-FAIL)などがある。このようなアラーム状態を検出した時は、内部状態出力端子から電気信号として出力される。製品によって保有する保護機能が異なるので注意が必要である。
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