今回はSNS経由で依頼された「特殊なモータードライバー」の修理の様子をレポートする。電解コンデンサーの液漏れで片面基板がひどく腐食していて難しい修理になった。
今回はSNS経由で依頼された「特殊なモータードライバーの修理」の話だ。依頼者は専用機器を修理しており、電子工学の経験はないが修理する範囲を広げるためにWired Weirdの修理記事を読んで、修理の勉強をしていた。すでに不良が出ていた機器を分解し、基板の不良箇所を特定済みで依頼は部品の交換方法や基板の検査方法について支援してほしいという内容だった。
依頼者から送ってもらった写真を確認すると、片面基板に4級アンモニウム塩の電解コンデンサーが実装されているようだ。これは最悪の組み合せだ。片面基板の修理はプロでも苦労するので、素人にはかなり難しいだろう。送ってもらった不良箇所の写真を図1に示す。
図1をよく見ると3端子デバイス(レギュレーター)の放熱板にクラックが入っていた。恐らく熱破損だろう。
レギュレーターと隣の1000μFの電解コンデンサーの距離が近すぎるため、電解コンデンサーの温度も上がっていると思われた。基板のハンダ面の写真を図2に示す。
図2のようにハンダ面のパターンが腐食していた。特に電解コンデンサー周辺のパターンがひどく腐食し、マイナス端子付近の銅箔が溶けレジストがなくなっていた。使用されていた電解コンデンサーは、マイナス端子から強アルカリ成分の液が漏れる4級アンモニウム塩の電解コンデンサーだった。またクラックがあった3端子ICは15Vのレギュレータだった。
図1と図2の写真を見て違和感を覚えた読者がいたら、その観察力を褒めたい。なぜ違和感があるかというと、図2はハンダ面を左右反転して回路のパターンが分かりやすいように画像加工したからだ。この配置にすれば、基板上の部品の回路接続を追いかけやすくなる。
では回路の流れを追いかけてみよう。図1右にあるコネクターの3、4端子から4ピンの黒モールドICの端子につながっている。このICは全波整流のダイオードブリッジで、交流のAC17Vを整流して、液漏れした電解コンデンサーにDC18Vを供給していた。
コンデンサーのプラス側電源は破損したレギュレーターのIN端子に接続されていた。またレギュレーター中央の端子にはマイナス側電源が接続され、左側のOUT端子からは+15Vが出力されていた。出力のすぐ近くに1μFのセラミックコンデンサーがあり、少し離れた場所に10μFの電解コンデンサーがあった。15V電源がこの基板の制御電源と思われた。
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