今回からLEDの特性に関して説明していきます。今回は、定電流でLEDをドライブすべき理由とDC定電流源の例について解説します。
戦いの第一のルールは「敵を知る」ことです。この原則はソリッドステート照明(SSL)にもあてはまります。LEDの挙動を理解しなければ、アプリケーションの成功はありません。
LEDは非線形デバイスであり、低い電圧では導通しません。電圧が上昇してしきい値を超えると突然発光を開始して電流が急激に増大しますが、その後も電圧が上昇を続けるとLEDは急速に過熱して焼き切れてしまいます。LEDを使用する秘訣は、完全なオン状態と完全なオフ状態の狭い幅で動作させることです。
注意すべきことがもう1つあります。この実用動作領域電圧は高出力LEDごとに異なります(同じサプライヤーの同じバッチ内であっても同じです)。また、周囲温度やLEDの使用年数によっても変化します。
実用動作領域の詳細を図2に示します。この例は、データシート上は同一仕様になっている4個の同じLEDのデータを示したものです。全てのLEDメーカーは、LEDが放出する光の色によってLEDを分類しています(これは「ビンニング(binning)」と呼ばれ、LEDは製造時に試験されて、その色温度に従って異なるビン(bin)に分類される)。
つまり、製造されたLEDは全て一緒にされ、1回の納入分にいくつかの異なる製造バッチのLEDが含まれていることがあるため、しきい値や順方向電圧(VF)などにかなりのばらつきがあることが予想されます。ほとんどの高出力LEDのデータシート仕様ではVF誤差が20%程度になっているので、図2に示すような大きなばらつきは決して珍しいものではありません。
この例では、例えば電源電圧を3VにするとLED1はオーバードライブ状態となり、LED2には300mAの電流が流れます。LED3に流れる電流は250mAで、LED4にはわずか125mAしか流れません。
さらに、これらの曲線は動的に変化します。LEDの温度が動作によって上昇すると、これらの曲線は全て左側へ移動します(温度の上昇とともに順方向電圧VFが減少)。
しかし、LEDの光出力は流れる電流量に直接比例します(図3)。従って、3V電源電圧を使用する上の例では、LED1は超新星のように明るく輝き、LED2はLED3より少し明るく、LED4は非常に暗く感じられます。
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