前回に引き続きLEDの特性に関して説明していきます。今回は、LEDストリングの接続について解説します。
大多数の高出力白色LEDは、350mAの定電流で動作するように設計されています。これは、白色LEDの順方向電圧が、その化学的構造によって約3Vに設定されているためです。出力は3.0V×0.35A≒1Wで、LEDの出力として都合の良い電力になります。ほとんどのDC-DC定電流LEDドライバは、バックコンバーター(降圧コンバーター)です。つまり、最大出力電圧は入力電圧より低くなります。従って、ドライブできるLEDの数は入力電圧によって決まります。
入力電圧 | 5Vdc | 12Vdc | 24Vdc | 36Vdc | 5Vdc |
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ストリング内の標準的LED量 | 1 | 3 | 7※ | 10※ | 15 |
表1:1ストリング内で駆動可能なLEDの数と入力電圧 |
入力電圧が安定化されていない場合は(例えばバッテリー使用時)、使用可能な最小入力 電圧に応じてLEDの最大数を減らす必要があります。
バッテリーの電圧範囲 | 9〜14Vdc |
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DC-DCドライバのヘッドルーム | 1V |
従って、LEDドライバの出力電圧範囲は | 8〜13Vdc |
LED順方向電圧VFが右に示す値の場合 | 3.3V(代表値)※ |
ドライブ可能なLEDの最大数は | 2 |
LED数が2個というのはいかにも少な過ぎます。この問題を回避する方法は、出力電圧が入力電圧より高い昇圧コンバーターを使用するか、2つ以上のLEDストリングを並列で使用することです。全体として必要になる電流を供給するには、350mAのLEDストリングを1つ使用するごとにドライバ電流を増やす必要があります。つまり、1ストリングには350mAのドライバ、2つの並列ストリングでは700mAのドライバ、3つの並列ストリングでは1.05Aの電流源が必要です。従って、LEDドライバの選択は、使用できる入力電圧と、ドライブするLEDストリングの数によって決まります。図1、2、3は、代表的な1W白色LEDを使用する場合に考えられる固定12Vdc電源の組み合わせを示した図です。12V安定化電源では、最大3つのLEDストリングをドライブできます(3×3.3V=9.9Vで、定電流ドライバレギュレーションにおけるヘッドルームは2.1V)
※:ドライブ可能なLEDの数はそのLEDのデータシートに示す最大VFによって決まる、というのは誤解です。LEDがその動作による温度に達した時には、VFが大幅に低下しているからです。従って、信頼できるデータシートの値は代表VF値です。標準的なデータシートのVF値は、周囲温度25℃で最小値3.3V、代表値3.6V、最大値3.9Vという形で示されています。しかし、50℃では、これらの数値は最小値3.0V、代表値3.3V、最大値3.6Vに近くなります。従って、LEDドライバである程度の電圧降下があったとしても、確実にドライブ可能なLEDの数は24V電源で7個、36V電源で10個になります。
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