Rel-16では、特定の干渉シナリオに対応するために、新しい基準信号を導入しています。クロスリンク干渉(CLI)により、ネットワークはセルとUEの間のDL/ULクロス干渉を評価、軽減することができます。ネットワークは、周辺セル間のDL/UL干渉を測定、理解し、ネットワーク交換を調整することにより、干渉レベルを制限し、システム全体の性能を向上させます。
リモート干渉管理(RIM)では、大気の屈折率の変化によって生じるダクトを克服するのに新しい信号が役立ちます。ダクトに閉じ込められた信号は、通常の範囲よりも遠くまで伝搬し、遠く離れた場所にあるセルに干渉する可能性があります。RIMは、ネットワークによる環境の理解を向上させ、これらの問題を軽減するのに役立ちます。
Rel-16では、容量の増加と干渉の最小化に加えて、省電力化も重要なテーマとなっています。このリリースでは、UEとネットワーク向けのさまざまな省電力技術が導入されています。これらの技術を個別に、または組み合わせて使用することで、UEの省電力化を実現できます。
物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)ベースの省電力化は、ネットワークが使用する制御シグナリングを変更するという重要な技術です。これにより、「UEがアクティブになる必要がある場合」、あるいは「非アクティブモード/スリープモードに移行できる場合」を示すことができます。
Rel-16には、リソーススケジューリングの制約についてネットワークとUEを一致させるためのメカニズムが他にも実装されており、これを利用して電力を節約することができます。例えば、タイムドメインのリソース割り当てでは、DLがPDCCHでチャネルを付与した直後に、データチャネルの割り当てが開始されないことをネットワークがUEに伝えます。この情報により、UEは制御チャネルのデコードとデータ伝送の準備により多くの時間をかけることができます。制御チャネルの直後にデータチャネルが発生する可能性があるため、UEが制御チャネルのデコードを極めて高速に実行しなければならないという最悪のシナリオに備える必要はなく、節電につながります。
同様に、MIMOレイヤー適応により、UEは全てのアンテナとRFチェーンを使用しなければならないという最悪のシナリオに備える必要がありません。例えば、4つのアンテナを備えたUEは、2レイヤーの伝送しか割り当てられないことが分かっていれば、4つのアンテナとRFチェーンを全て使用するために、常時待機して電力を供給する必要がありません。UEは、使用していないレシーバーを長時間オフにすることができ、節電になります。
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