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低消費電力モードからの復帰方法Q&Aで学ぶマイコン講座(63)(1/3 ページ)

マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、中級者の方からよく質問される「低消費電力モードからの復帰方法」についてです。

» 2021年06月29日 10時00分 公開

過去の質問一覧はこちら

 素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。

 今回は、中級者から多く寄せられる質問です。

 なお、本記事は2016年7月「Q&Aで学ぶマイコン講座(28)いろいろなマイコンの低消費電力モードを理解する」の応用編です。

 前回の記事では、低消費電力モードの仕組みとモード遷移について詳しく解説しました。今回の記事では、応用編として低消費電力モードからの復帰方法と、復帰の際にユーザーが行うべき処理について解説します。

 マイコンの消費電力を抑えるために、低消費電力モードで使用する予定です。低消費電力モードに遷移することはできるのですが、復帰後に遷移前の状態に戻りません。どのような原因が考えられるのでしょうか?

 STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)の汎用32ビットマイコン「STM32L4シリーズ」*1)を例にして、解説します。

 表1に、STM32L4シリーズに搭載された低消費電力モードの一覧を示します。

表1:STM32L4シリーズの低消費電力モード

 まず、この表で着目すべき点は、「発振回路 & PLL」の欄です。「全て動作」と書かれていれば全く問題ありません。ですが、「PLL以外全て動作」や「低周波数発振回路は動作」など、条件付きで書かれている場合、PLLや高周波数発振回路(メインクロック用)は停止してしまいます。このように条件が付いている場合、PLLやメインクロックがどのような状態で停止するかがポイントになり、停止している機能が低消費電力モードから復帰する際に、自動復帰なのか手動復帰なのかを確認する必要があります。手動であれば、ユーザーがプログラムで設定しなければなりません。

 「モード」欄で括弧書きになっている補足説明にも着目する必要があります。例えば、「一部内部回路電源OFF」(スタンバイモード)や「内部回路電源OFF」(シャットダウンモード)の場合、一部の回路または全回路で電源がOFFになります。この場合、低消費電力モードからの復帰後は、パワーオンリセットの状態になるため、使用していた機能の再設定が必要です。

 いずれの場合も、低消費電力モードから復帰する際の注意事項は、マニュアル内の各低消費電力モードの説明に書いてありますので、その記述に従ってください。

*1)https://www.stmcu.jp/stm32/stm32l4/

コラム

 「低消費電力モード時の消費電流がデータシートの値まで落ちない」「低消費電力モードから復帰できない」などのトラブルに関する問い合わせがよく寄せられます。こうしたトラブルの多くは、マニュアルに記載されている条件を守っていないことが原因になっています。マニュアルを読んでも分からない場合は、サンプルプログラムなどを探し、自身が作ったプログラムと比較してみましょう。コミュニティーの情報なども参考になります。

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