マイコンのボードは、マイコンメーカーや製品ごとにさまざまなものが提供されていますが、大きく分けて「スターターキット」と「評価用ボード」があります。
「スターターキット」は、特定のマイコンを初めて使う場合、または初心者がマイコンを初めて使う場合に、簡単に使い始められるように作られているボードです。機能を簡素化し、マイコンを使うための必要最低限の部品だけを実装しています。
実装部品が限定されているので、機能も限られていますが、比較的安価で入手できるのが特徴です。そのため、初心者向けのボードです。また、マイコンの上級者にとっても、初めて使うマイコンの動作確認や性能評価をしたい場合などに便利です。
「評価用ボード」には、マイコンに内蔵されているほとんどの周辺機能を使えるように、外部回路が豊富に実装されています。マイコンを使いこんだ上級者向けのボードです。いろいろな部品が実装されていて、ソフトウェアやハードウェア(回路図、部品表など)も付属しているため、実際のアプリケーション設計の参考ソフトウェアや参考ハードウェアとして使えます。高機能なので、スターターキットと比べると高価になりますが、さまざまな応用ができる便利なボードです。
STM32ファミリーを例に挙げると、STM32 NucleoボードとSTM32 Discovery開発ボードが「スターターキット」に相当し、STM32評価ボード(EVALボード)が「評価用ボード」に相当します。
マイコンを動作させるために必要な最低限の部品*4)と動作確認用のLEDなどが実装されているボードです。デバッガ/プログラマーも搭載されているため、ユーザーはUSBケーブルでそのままPCにつなぐことができます。さらに、PCに無償の統合開発ツールをダウンロードすれば、簡単にマイコンを動作させる環境を整えることができます。*5)
ここでは、STM32ファミリーを例に挙げて、STM32 NucleoボードとSTM32 Discovery開発ボードについて詳しく説明します。
*4)参考記事:Q&Aで学ぶマイコン講座(26)マイコンの周辺部品は、最低何が必要?
*5)参考記事:マイコン入門!!必携用語集(4)マイコンのソフト開発って、どうやるの?――「マイコン開発」で知っておきたい用語
参考記事:マイコン入門!!必携用語集(8)どう選ぶ? PCとターゲットを接続するツール
STM32 Nucleoボードの一番の特徴は、マイコンの機能を確認するための部品としてLEDしか実装されていないため、安価な点です。通販などでも簡単に入手できます。
もちろん、マイコンを動作させるために必要な最低限の部品の電源回路、デカップリングコンデンサー*6)、発振回路などは実装されています。さらに、デバッガ/プログラマーも搭載されていているため、ユーザーは簡単にマイコンを動作させることができます。しかし、動作しているかどうかを確認できる部品はLEDだけです。追加でさまざまな部品を実装したい場合には、コネクターを介して実装します(図2)
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