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光スペクトラムアナライザーの利用事例と校正光スペクトラムアナライザーの基礎知識(3)(1/5 ページ)

光ファイバー通信分野の開発では必須の測定器となっている光スペクトラムアナライザーについて解説する連載最終回。今回は光スペクトラムアナライザーの「利用事例」と「校正」について説明する。

» 2022年07月21日 12時30分 公開
[TechEyesOnline]
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 本記事は、計測器専門の情報サイト「TechEyesOnline」から転載しています。

光スペクトラムアナライザーの利用事例

 光スペクトラムアナライザーは主に光ファイバー通信関連で使われているが、その他の用途でも使われているのでここではさまざまな利用事例を示す。

半導体レーザーの発光スペクトル測定

 市場にはさまざまな光源があり、用途ごとに測定方法が決められている。光スペクトラムアナライザーが測定によく使われる光源は、下図の点線で示す範囲である。

図1:光スペクトラムアナライザーがよく使われる光源[クリックで拡大]

 レーザーダイオード(LD)などの半導体レーザーが使われる用途にはスペクトルの評価が重要な場合が多いので、ここではレーザーダイオードの評価について述べる。

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 レーザーダイオードの発光スペクトルを測定するには、レーザーダイオードを駆動する専用の電源装置を用いる。また、レーザーダイオードは発光によって温度が上昇するためヒートシンクを付けて冷却するか、ペルチェ素子を使った温度制御ができる仕組みを使う。

 光スペクトラムアナライザーでは、レーザーダイオードからの光スペクトルの全体像を観測することになる。発光パワーの測定は光パワーメーターで測定し、正確な中心発光波長の測定はマイケルソン干渉計が組み込まれた波長計を用いる。

図2:レーザーダイオード(LD)の発光スペクトル測定[クリックで拡大] 出所:レーザーダイオード測定方法(ソニーHP) 注記:セルフォックレンズは日本板硝子の商標、屈折率分布型レンズが一般名称となる。

 レーザーダイオード生産ラインの検査工程においても、光スペクトラムアナライザーが利用される。自動検査システムに組み込まれる光スペクトラムアナライザーは、高速測定が要求される。また、パネルからのマニュアル操作を行う場面は少ないので、前面には操作スイッチがなく小型となっている。

図3:生産用検査システムに組み込まれる光スペクトラムアナライザー(AQ6360、横河計測)

 光ファイバー通信で使われるレーザーモジュールの測定方法は、光産業技術振興協会が発行する技術資料「光伝送用能動部品−試験及び測定方法−DWDM伝送用波長可変レーザーモジュール」に、光スペクトラムアナライザーを使ったサイドモード抑圧比の測定方法が示されている。

【ミニ解説】さまざまな用途があるレーザーダイオード

 レーザーダイオードは光ファイバー通信以外にも光ディスク装置、レーザープリンタなどさまざまな分野で使われている。利用される波長は用途によって異なっている。

例えば光ディスク装置では、記録されるデータの記録密度の違いによって波長は異なる。CDの場合は780nm(赤外)、DVDの場合は650nm(赤色)、Blu-rayの場合は405nm(青色)となっている。波長が短いほど光をレンズで集光したときのスポット径を小さくでき、データの記録密度は高まる。片面1層の直径12cm光ディスクで比較するとCDは650M〜700MB、DVDは4.7GB、Blu-rayは25GBとなる。

表1:レーザーダイオードの波長と応用分野
レーザーの素材 波長帯(nm) 主な用途
光ファイバー通信 光ディスク レーザープリンタ プロジェクター 3Dレーザーセンサー
GaInN 400n〜530nm 青紫〜緑 〇(BD)  
AlGaInP 635n〜680nm 赤色 〇(DVD)  
AlGaAs 780n〜850nm 赤外 〇(CD)
InGaAs 900n〜980nm 赤外
InGaAsP 1300nm/1550nm 赤外       

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