遠距離の光ファイバー通信を行う際には、光ファイバーによる減衰を補償するために光ファイバー増幅器が伝送路の途中に挿入されている。太平洋を横断するような光海底ケーブルでは、多くの光ファイバー増幅器が使われている。
光ファイバー増幅器の測定方法はJISC6122に掲載されている。下図にはJIS規格に掲載されている光スペクトラムアナライザーを使っての測定事例を示す。
光ファイバー増幅器は光をそのまま増幅する装置である。希土類の一種であるエルビウム(元素記号はEr)を石英ガラスファイバーにドープ(添加)した、エルビウムドープ光ファイバーが使われる。光ファイバー通信に使われている1.55μmの光に0.98μmもしくは1.48μmの半導体レーザーによる励起光源からの光を合波し、エルビウムドープ光ファイバーに導入すると、誘導放出によって1.55μmの光が増幅される原理を使っている。
増幅する光波長が異なれば石英ガラスファイバーにドープされる元素は異なってくる。
光ファイバー通信で使われているエルビウム添加光ファイバー増幅器は、東北大学電気通信研究所の中沢正隆教授が1989年に世界で初めて小型で実用的なものを開発した。この成果が現在の光ファイバー通信を普及させた要因の1つになっている。
光ファイバーを使って信号を伝送する際には、電気信号と光信号を双方向で変換する光トランシーバーが使われる。光トランシーバーのなかで普及しているのが、GPON(Gigabit Passive Optical Network)やGEPON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)である。日本国内で普及しているFTTH(Fiber To The Home)を実現するために、光トランシーバーが使われている。また、データセンター内での機器間のデータ伝送にも光トランシーバーが使われている。
GPONやGEPONの通信インタフェースの試験方法は規格で定められている。その中には光スペクトラムアナライザーを使っての中心波長およびスペクトラム幅の試験がある。下図はJISC5954-4規格に示されているGPONの試験方法である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.