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電磁気学入門(7)降圧コンバーターの設計事例や損失計算 DC-DCコンバーター活用講座(50)(1/4 ページ)

電磁気学入門講座。今回は、降圧コンバーターの設計事例や、損失計算について解説します。

» 2024年01月23日 10時00分 公開

降圧コンバーター設計事例

 実際のアプリケーションに対して、適切なインダクターをどうやって選択するかを説明するために1つの例を示します。この例では、12Vバッテリーから安定化5V出力を提供する降圧レギュレーターを設計することを目標とします。性能仕様要求は以下の通りです。

  • 入力電圧:9〜14VDC
  • 出力電圧:5VDC
  • 出力電流:1A
  • 出力電圧リップル:100mVp-p max.
  • スイッチング周波数:120kHz
  • 動作温度:周囲温度0〜+85℃

 最初は、最悪の場合のデューティサイクルの計算です。これは、入力電圧が最大のときに発生します。

<strong>式1:デューティサイクルの計算</strong> 式1:デューティサイクルの計算

 次は、許容する出力リップルを決定します。20〜40%の範囲が実用的な範囲で、最大リップル電流を30%に想定します。インダクタンスは以下の式で計算します。

<strong>式2:インダクタンスの計算</strong> 式2:インダクタンスの計算

 ほとんどのパワーインダクターの許容差は±20%なので、要求仕様を保証するために100μHのインダクターを選択する必要があります。

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 負荷電流は1Aですが、インダクターのピーク電流は15%高くなることから、Isat≧1.15Aのパワーインダクターを選ぶ必要があります。Isatの値はそのインダクターのデータシートに示されています。しかし、この仕様には一致した定義がないので、メーカー間の比較においては少々注意が必要です。定評のあるメーカーは、インダクタンスが10%降下した時の値をIsat値としています。他では30%かそれ以上を使っている場合があります。

 電流定格は一般に、コア温度が周囲温度から40℃上昇した時の電流ですが、これもメーカー間で条件が同じとは限りません。最大周囲温度の+85℃では、コア温度は最大定格の125℃に達します。従って、この設計に定格が1A以上のインダクターを使用することは道理にかなっています。降圧コンバーターに関しては、経験則から少なくても負荷電流の1.5倍の定格のものを使います。

 最後に選択する部品は、出力フィルターコンデンサーです。DC-DCコンバーター活用講座(23):DC-DCコンバーターのバックリップル電流対策式1から、必要な容量を求めることができます。

「DC-DCコンバーター活用講座(23):DC-DCコンバーターのバックリップル電流対策」から再掲 「DC-DCコンバーター活用講座(23):DC-DCコンバーターのバックリップル電流対策」から再掲

 最初の概算として、ESRを無視して式を簡素化できます。

<strong>式3:コンデンサーの計算</strong> 式3:コンデンサーの計算

 これも±20%を許容差として、4.7μFのMLCC(積層セラミックコンデンサー)を選択します。以下に、最終設計の簡略図を示します。

<strong>図1:5V/1A降圧コンバーター簡略図および部品定数計算値</strong> 図1:5V/1A降圧コンバーター簡略図および部品定数計算値
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