この電源の入力電圧も出力電圧も電力も何も分からない。これで動作の確認ができるか不安だったが、端子台のカバーを開けると入力電圧が表示されていた。図1に示す。
入力電圧はAC100-230Vだった。修理の起点が1つできた。まずは6.2Vの出力に20Ωの抵抗を接続すると出力電圧が0Vになった。AC100Vの電圧ではトランジスタのスイッチング動作が十分にできていないようだ。起動電流を増やすために、整流電源とトランジスタのベース間に220kΩを追加した。すると、トランスのスイッチング動作が始まった。しかし出力電圧は1.5Vしかなかった。この動作だとAC200Vの電源仕様かもしれない。
220kΩの起動抵抗を外してAC200Vを印加した。すると電源表示が点灯したが、数秒後に消灯した。『アッ、これは過電圧シャットダウンが発生している』と思い、オシロスコープで出力電圧を確認しながらAC200Vを通電すると、出力電圧が6.2Vになり徐々に上昇して7Vまで上がった後で0Vになった。やはり過電圧シャットダウン機能が働いていた。
最初に電源電圧が6.2Vだったのは、AC入力の電圧が足りなかったからだった。電圧調整用の可変抵抗があったが、最小値の位置で下げられなかった。やむを得ずシャントレギュレーターのゲートと出力電圧間に抵抗を追加し、カットアンドトライで出力電圧を5.1Vに設定した。追加した抵抗は4.7kΩだった。図2に示す。
図2は電源出力基板のハンダ面で、赤四角に抵抗を追加している。AC200Vを通電すると当初は5.1Vが出力されたが徐々に電圧が上昇して10秒後に6Vを超えた。出力が無負荷なので、十分にフィードバックがかかっていないようだ。出力に20Ωの負荷抵抗を接続してみると、出力電圧は5.1Vで安定し、5Ωの負荷を追加しても5.1Vで安定していた。
ダミー負荷を基板に実装するため、手持ちの部品を探すと18Ωの2W抵抗があった。1.4W程度の消費電力になるがこの程度の電力増なら問題ないだろう。追加する抵抗を実装する場所がなかったので、出力コネクターのリードに直接ハンダ付けした。図3に示す。
図3は出力基板の部品面で追加した負荷抵抗を赤四角で囲っている。電解コンデンサーとの距離が少し近いが空間はあるので十分だ。最後にAC200Vを印加して出力電圧を再確認した。次ページに図4を示す。
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